-29- • 定期的な実施の必要性 本研究では、能動的立哨活動の効果が通常立哨よりも高い可能性が示唆されたものの、その継続効果は確認できなかった。交通安全に関する啓発や注意喚起の仕組みは、ドライバーに「慣れ」が生じることで時間経過とともに効果が薄れることが知られており、定期的に実施することが必要であると考えられている。 豊田市の多くの地域では、立哨活動は交通安全市民運動期間中の「全市一斉街頭活動の日」に実施されていると考えられる。年4回の活動に加えて、例えば「交通事故ゼロの日」や「横断歩道の日(愛知県警の取り組みで毎月11日を設定)」などに地域や企業で歩行者優先運転を促す「能動的立哨」を実施することで、地域の交通安全意識がより高められる可能性がある。 5-3 おわりに 本研究では、昨年度の研究において実施したドライバーへのアンケート調査から「地域の知人による立哨」「謝意メッセージ」など、効果的な啓発方法の可能性が示唆されたことを踏まえ、「地域の交通安全対策」について、地域で実践できるソフト対策に加えてハード対策の課題も整理しながら「地域住民による効果的な交通安全対策の提言」を目指し、効果的な安全立哨活動についての検討に取り組んだ。 具体的には、豊田市交通安全防犯課との共同事業として、無信号横断歩道における歩行者優先運転を促す「能動的立哨活動」の実証実験を実施し、地域への展開の可能性を検討した。その結果、能動的立哨による効果を確認することができた。 ドライバーの意識変容に関する直接的な調査が実施されていないことから、今後、地域への活動が展開され定着した時点で意識調査を実施したいと考えている。また、立哨活動に参加している地域住民らの交通安全意識やコミュニティに対する意識の変化も興味深いことから、今後の研究課題としたい。 なお、施策したハンドプレートの視認性やメッセージ判読の有無、能動的態度が無い場合の謝意プレートそのものの効果についての検証は実施しておらず、それらも今後の研究課題であると考える。
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