地区内道路の課題に関する基礎研究 ~ 歩行者保護に資する対策の検討 ~
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-27- 5 歩行者保護施策の課題と展開方策 5-1 能動的立哨の効果と課題 (1)実証実験により得られた知見 実証実験により得られた知見を以下に列記する。 ‣ 無信号横断歩道で立哨活動を実施することにより、歩行者優先率は高まる。 ‣ 通常の立哨(プレートを持ち路側に立つのみ)よりも「能動的」な立哨(目立つ謝意プレートを持ちドライバーにアイ・コンタクトを取り会釈等で謝意を伝える)の方が、歩行者優先率が高まる。 ‣ 能動的立哨は、通常時に歩行者優先率の低い Far-side の状況において、効果的である可能性が示唆された。 ‣ 立哨実施時は歩行者優先率が向上するが、効果継続は確認できなかった。 ‣ 「能動的な立哨」の翌週は歩行者優先率が低下しているものの、事前および中間調査時よりも若干高い値であり、通常立哨よりも効果が持続する可能性に期待する。 (2)能動的立哨活動の課題 ① より効果的な場所の検討 豊田市が実施している「STOP率調査」の調査箇所や既往研究で調査が実施されている場所それぞれで、歩行者優先率(譲り率、停止率)には大きな差違がある。このことは、道路環境や交通環境、通過車両ドライバーの交通目的などの質的要因に関連していると考えられた。 今回の実証実験を実施した無信号横断歩道は、横断歩行者交通量が比較的多いことや、重方向の車両にとって前方視野に入る位置に信号交差点があることなどから、通常時の歩行者優先率が60%程度と比較的高い状況にある。通常時の歩行者優先率が低い場所や道路環境の異なる場所において、どのような効果が得られるかという研究を進める余地が残されている。 ② ドライバー意識の確認 今回の実証実験では、通行車両の歩行者優先行動を評価指標としたが、ドライバーが立哨活動をどう感じ、行動変容が起こったのか、あるいはハンドプレートの視認性

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