1 1. 序論 1-1 研究背景及び目的 現在、大きな社会問題となっている高齢運転者による事故を低減するため、その特性を把握することが求められている。交通事故特性は地域によって異なると言われており、豊田市における高齢運転者による事故対策を検討するためには、その特徴を明らかにする必要がある。しかしながら、全国・愛知県と比べた豊田市の高齢運転者による事故の特徴は明確になっていない1。また、効率的・効果的な交通事故の対策として、「車・人・環境」各視点からの対策が一体化で進められることが望まれる。一方で、このような「三本柱」の視点から、豊田市における事故対策の整理はまだ十分とはいえない。 そこで、本研究は高齢運転者の事故・違反特性2や県の特性3を考慮した事故分析などの先行研究の成果と課題を踏まえ、豊田市における高齢運転者による交通事故の低減対策を検討するための知見を得ることを目的とする。 1-2 研究特徴 本研究の特徴は次のように挙げられる。 まずは、豊田市における高齢運転者の交通事故特徴を明示する点である。具体的に、豊田市の交通事故について、「とよたの交通事故」に掲載された分析項目だけでなく、様々な道路環境に関わる事故影響要因についても詳細分析を実施する。また、全国・愛知県との違いを把握することで、高齢運転者の事故特徴を明らかにする。 そして、高齢運転者の事故テータに適用した事故件数予測モデルを構築する点である。具体的に、豊田市における高齢運転者による事故対策を提案することを念頭に入れて、その交通事故件数に影響を与える要因を解明するため、時系列分析モデルや空間経済計量モデルの構築を目指す。 最後、テキストマイニングの機械学習手法を用いた高齢運転者の事故対策を分析する点である。具体的に、効率的に高齢運転者の事故対策を整理するため、テキストマイニングの機械学習手法を全国、愛知県、豊田市それぞれの交通安全基本計画に適用した結果を踏まえ、「車・人・環境」の分析視点から、全国・愛知県の事故対策の中で、豊田市が参考可能となる内容を整理する。 1-3 研究内容 本研究の流れは図 1-1に示す。本研究は「高齢運転者事故特徴の分析」、「交通事故件数の推計モデルの構築」、「事故対策の検討」の三本柱で研究を推進してきた。研究内容は次 1 特性はあるものに特別に備わっている性質で,特徴は他のものと比べてとりわけ目立つ点である. 2 出典:公益財団法人豊田都市交通研究所,「高齢運転者の法令違反特性及び防止対策に関する考察」自主研究報告書,2017年3月. 3 出典:公益財団法人豊田都市交通研究所,「県の特性を考慮した超高齢社会における交通安全対策に関する研究」自主研究報告書,2017年3月.
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