33 5-2 分析結果を踏まえた方策提案 本研究による分析結果を踏まえ、豊田市における高齢運転者の事故低減に向けた方策を下記の通り提案する。 1)豊田市の特徴に即した高齢運転者事故対策の検討 第2章で実施した豊田市における高齢運転者の事故特徴への分析結果から、全国と比較して、豊田市の特徴は次の通りである。事故内容では死亡事故の割合が高く、事故類型では正面衝突や車両単独が高く、発生箇所では単路-直線の割合が高い。これらの特徴は豊田市では自動車が走行しやすい道路環境を有することをある程度反映すると考える。これからの特徴に対する対策としては、高齢運転者の走行速度を抑制することや、中央分離帯がない場所においては、中央線で黄色のカラー舗装を表示することが挙げあれる。また、豊田市に開催する高齢運転者講習においても、これらの事故特徴を周知することが望ましい。 2)高齢運転者を対象とした意識啓発活動の推進 第3章で実施した高齢運転者の時間的な特徴への分析結果から、第4四半期の交通事故件数は多いことや、高齢者講習制度の見直しが高齢運転者の事故件数に影響を与えていないことが分かる。これらの結果を踏まえて、高齢運転者と対象とした意識啓発活動を推進することが望まれる。具体的に、豊田市が実施している冬の交通安全活動の期間を延ばし、その中でも高齢運転者を対象とした事故の防止を呼び掛ける。また、高齢運転者に自分自身の運転能力を知ってもらえるように、高齢運転者の運転技能教習会の規模を拡大することで、高齢運転者の免許更新時以外においても、自分自身の運転能力が理解・評価できるようにする場を設ける。これらの対策は高齢運転者免許の自主返納にもつながると考えられる。 3)高齢運転者を保護する環境づくりの推進 第5章で実施した豊田市の交通安全計画の整理結果について、全国・愛知県の交通安全計画と比較して、豊田市では高齢者マークを取り付けた自動車への保護意識の向上や高齢者マークの積極的な使用の促進などの方針を言及していないことが分かる。その対策として、高齢運転者を保護する環境づくりを推進することが望まれる。具体的に、高齢運転者自分自身が高齢運転者マークを積極的に使用するように呼び掛けることや、ドライバー全員を対象に高齢運転者の運転行動の特徴を周知し、運転中における前方の高齢者が運転している自動車に対して車間距離を拡大することや、並走している高齢運転者が進路変更する際に、進路を譲ることなどのような環境づくりを推進する必要がある。
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