平成30年度 自主研究概要 報告者:楊甲 研究分野 1.暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2.解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 豊田市の高齢運転者の事故特徴を踏まえた事故対策に関する検討 研究の背景・内容 事故特性は地域によって異なると言われており、豊田市における高齢運転者による事故対策を検討するためには、その特徴を明らかにする必要がある。しかしながら、全国・愛知県と比べた豊田市の高齢運転者による事故の特徴は十分に明確になっていない。また、高齢運転者による交通事故対策を検討するため、長期間にわたる事故件数の時間的な変化や地区別における空間的な特徴を把握することも不可欠である。 これらの研究背景を受けて、本研究では豊田市における高齢運転者の事故・違反特性を踏まえ、高齢運転者による交通事故の低減対策を検討するための知見を得ることを目的とする。このため、本研究では研究文献調査を実施し、豊田市における高齢運転者事故特徴の分析、交通事故件数の推計モデルの構築、事故対策の検討の三本柱で研究を推進した。 研究結果・ 得られた知見等 ■豊田市における高齢運転者事故特徴 平成25~29年の交通事故データを用いた分析結果では、事故内容をみてみると、全国と比較して、死亡事故の割合が高いことや、愛知県と比較して、死亡事故や重傷事故の割合が高いことが分かる。また、事故類型をみてみると、全国、愛知県を比較して、正面衝突や車両単独の割合が高いことが分かる。 ■高齢運転者による交通事故件数の時間的な変化 高齢運転者の交通事故件数を推定するための時系列モデルの分析結果から、交通事故件数に影響を与える要因は65才以上の人口数や月間の違いである。一方で、高齢運転者講習の見直しによる効果がないことが確認できた。 ■高齢運転者による交通事故件数の空間的な特徴 豊田市の都市化地域を対象に、500mメッシュを分析単位とした事故件数推定モデルの分析結果から、従業者数が多くなることや総道路の延長密度が高くなることや交差点次数が高くなることによって、高齢運転者による事故件数が多くなる傾向があることが確認できた。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む ■本研究の特徴 まずは、高齢運転者の事故について、全国・愛知県と比較することを通じて、豊田市の特徴を明らかにした。そして、高齢運転者の交通事故件数に影響を与える要因を解明するため、豊田市を対象地域として、時系列解析モデル及び空間経済計量モデルを構築した。さらに、豊田市の交通事故特徴を踏まえ、高齢運転者による交通事故対策の検討を行った。 ■社会への貢献 本研究は豊田市を対象地域として、高齢運転者による交通事故の単純集計にとどまらず、様々な分析視点から事故特性を把握したため、豊田市における高齢運転者による事故低減対策を検討するための参考資料となる。 所内の担当者氏名・ 担当者 主担当:楊甲(総括、高齢運転者事故特徴分析、時系列モデル構築、対策検討) 担当:嚴先鏞(交通事故件数の空間的な特徴分析) 協力先名 豊田市役所 総務部 庶務課(豊田市人口統計データの提供者) 名古屋大学未来材料・システム研究所 山本俊行教授(共同研究者) 公益財団法人交通事故総合分析センター(交通事故集計ツールの提供者【有料】) 問題点・課題今後の研究予定・その他 ■研究の課題 本研究では、高齢運転者による交通事故件数を推定するための時系列モデルを構築した際、65才以上の免許保有者数データを入手できず、65才以上の人口データを用いて分析を行った。また、交通事故原票データから、高齢運転者の年齢を把握できないため、70才以上の高齢運転者を対象とした分析ができなかった。これらの問題点から、本研究による知見では限界がある。 ■今後の予定 本研究の成果はInternational Choice Modelling Conference 2019やアメリカTRB年次大会等に投稿予定。 関連論文(H30年度) (当年報掲載ページ) Examining the Environmental, Vehicle and Driver Factors Associated with Crossing Crashes of Elder Drivers Using Association Rules Mining P.〇〇〇 Examining the Important Factors Affecting the Decision to Cease Driving by Elder Drivers: Case Study of Toyota City, Japan P.〇〇〇
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