豊田市の高齢運転者の事故特徴を踏まえた事故対策に関する検討
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19 本章で構築したINAR(1) Poissonモデル及び負の二項回帰モデルの推定結果を図 3-14に示す。 図 3-14 INAR(1) Poissonモデル及び負の二項回帰モデルの推定結果 3-4 小括 本章で実施した研究分析のまとめは次の通りである。 まずは、高齢運転者の交通事故データを用いて、年、半期、四半期、月を単位とした基礎集計を行い、集計単位それぞれについて、事故件数が最も多い時期が分かった。そして、高齢人口数が増加していることに対して、高齢運転者による事故件数がほとんど変化していない。また、高齢人口が占める割合や高齢運転者による事故割合両方が増加している傾向がみられる。さらに、豊田市を対象に、高齢運転者による事故件数の時系列分析モデルを構築した結果から、65才以上の高齢者人口数や月別の差異による影響が確認できた。最後に、高齢者講習制度の見直しによる事故の削減効果や事故件数の時系列特性がないことが確認できた。 また、本研究の限界は次の通りである。 まずは、本章では、65才以上の免許保有者数を入手できないため、65才以上の高齢者人口数を用いて分析を実施したことや、サンプル数は少ないため、高齢者の年齢階級を分けないことがあるため、研究による知見の限界がある。また、分析対象地域は豊田市であるため、日本全国における高齢運転者講習の見直しによる効果があることを否定できない。 推定結果○事故件数に影響を与える要因は、65才以上高齢者の人口数、月である。一方で、高齢者講習の見直しによる影響はほとんどない(ダミー変数のt値の絶対値は1.96未満)〇パラメータθの推定値は小さく、また、有意性はない。そして、負の二項回帰モデルの推定結果を比較して、推定値はほぼ同様で、モデル精度の向上がみられないため、事故件数の時系列特性がほとんどないINAR(1)Poisson回帰モデル負の二項回帰モデル説明変数推計値標準分散t値推計値標準分散t値定数項-2.479 2.162 -1.147 -2.540 2.162 -1.175 [2009.06-2017.02]期間ダミー-0.071 0.064 -1.108 -0.072 0.064 -1.130 [2017.03-2017.12]期間ダミー-0.147 0.113 -1.302 -0.149 0.113 -1.323 65才以上高齢者人口数の対数1.140 0.452 2.524 1.153 0.452 2.552 2月ダミー0.018 0.090 0.199 0.018 0.090 0.199 3月ダミー0.192 0.087 2.215 0.192 0.087 2.216 4月ダミー0.177 0.087 2.031 0.177 0.087 2.031 5月ダミー0.100 0.089 1.130 0.100 0.089 1.130 6月ダミー0.055 0.090 0.613 0.055 0.090 0.614 7月ダミー0.198 0.087 2.285 0.198 0.087 2.286 8月ダミー0.051 0.090 0.575 0.052 0.090 0.575 9月ダミー0.121 0.088 1.372 0.121 0.088 1.372 10月ダミー0.232 0.086 2.700 0.232 0.086 2.700 11月ダミー0.290 0.085 3.419 0.290 0.085 3.419 12月ダミー0.278 0.086 3.215 0.278 0.086 3.214 θ-12.208 252.918 -0.048 -Root Mean Square Error4.331 4.331 Mean Absolute Error3.523 3.524 Mean Squared Error18.756 18.755 サンプル数143143

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