交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
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64 5研究背景(国土交通省による生活道路の交通安全対策)○生活道路対策エリアにおいて、ビッグデータを活用し、速度超過、急ブレーキ発生、抜け道等の潜在的な危険箇所を特定し、ハンプや狭さく等を効果的、効率的に設置することで、速度抑制や通過交通の進入抑制を図り、歩行者・自転車中心の空間づくりを推進出典:生活道路の交通安全対策に関するポータルサイト(国土交通省)「生活道路対策エリア」の取組フロー6○生活道路について、道路交通関係法令で明確な定義するものはない(2017年4月時点)○速度規制があるもの(ゾーン30内、30キロ速度規制標識有)と速度規制がないもの(速度規制標識無)が存在している。そのうち、速度規制がないものが圧倒的に多く、日本では無数に存在しているため、ハンプや狭さくなどの整備というインフラ側からの対策は困難研究背景(生活道路における事故対策の問題点)交通安全白書(内閣府)定義:市街地における車道幅員5.5メートル未満の道路生活道路のゾーン対策マニュアル(一般社団法人交通工学研究会)定義:地区に住む人が地域内の移動あるいは地区から幹線道路(主に国道や県道などで通過交通を担う道路)に出るまでに利用する道路生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書(警察庁)定義:主として地域住民の日常生活に利用される道路で、自動車の通行よりも歩行者・自転車の安全確保が優先されるべき道路生活道路における速度規制基準の見直し(警察庁、平成21年)内容:歩行者・車両の通行実態や交通事故の発生状況を勘案しつつ、住民、地方公共団体、道路管理者などの意見を十分に踏まえて、速度を抑えるべき道路を選定し、このような道路の最高速度は原則として30 km/hとする7○速度規制標識が無い生活道路*において、運転者の走行速度の実態を把握するとともに、交通状況(歩道有無、住宅有無など)を考慮した助言型ISAによる速度抑制効果を分析本研究の目的及び特徴1.速度標識の無い生活道路において、ISAが高齢者の速度遵守行動を促す効果の検証2.車両走行実態を適切に表現する代表速度データベースの構築3.交通状況が走行速度に及ぼす影響を考慮したISAの速度抑制効果の検証理由:日本で無数に存在している速度規制標識のない生活道路において、助言型ISAの速度抑制効果が検証できれば、これらの道路区間における速度抑制の手段になりうる。しかしながら、これに関する研究蓄積が極めて少なく、特に移動範囲が狭く、生活道路を通過する機会がより多い高齢運転者を対象とした既往研究が見当たらない理由:運転者が自動車を運転する際、必要な場合に応じて徐行する必要があるため、これらの運転行動は運転者走行中の規制速度遵守意識を反映できない可能性がある。そこで、本研究は速度低下(10km/h以下)GPSデータを解析対象から除外し、単路区間の実態をより適切に反映するものを用いる理由:生活道路において、歩道有無や住宅有無によって、運転者の走行速度が異なると想定されるため、これらの状況を考慮しないと、助言型ISAの速度抑制効果を断定できず。そこで、本研究は歩道有無や住宅有無によるISAの速度抑制効果の違いを把握注:*本研究では、生活道路は市街地における道路幅員5.5m未満道路区間8○助言型ISAはスマホ上(AndroidOS)で稼動しているアプリケーションで、走行速度(常時表示)及び速度規制を示すとともに、速度超過警告を提示することが可能。なお、規制速度超過の情報提供機能ON/OFFに設定可能○上記の助言型ISAで速度規制提供対象となる道路空間には、30キロ、40キロ、50キロ規制、ゾーン30内、そして車道幅員5.5m未満の道路空間が含まれている○対象地域は豊田市の外環状の内側+αの道路区間で、対象者は高齢者を含む運転者分析用データの整備(助言型ISA機器の紹介)走行速度(常時表示)走行中区間の最高速度規制情報速度超過警告(規制速度超過時)図ISAアプリの画面表示様子図ISAアプリによる走行空間別提供情報走行空間 走行時画像 走行時音声 速度超過時画像 速度超過時音声 幅 員 5.5 m 以 上 50 km/h 規制区間 ポン 50きろきせいです 40 km/h 規制区間 ポン 40きろきせいです 30 km/h 規制区間 ポン 30きろきせいです 幅員5.5 m未満 (速度規制無) ポン (30超過時) そくどにちゅういして そうこうしてください ゾーン30 ゾーン30に はいりました (1回のみ) 30きろきせいです 注:ISAの定義は発表資料の付録1に参照

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