交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
7/110

1 1. 序論 1-1 研究背景及び目的 第8次豊田市総合計画の中で、厳しさを増す財政状況は豊田市が抱える脅威の一つとして明示されている。このため、実施する政策の妥当性の判断や、実施した政策評価を効率的・効果的に行える「仕組み」が求められている。この「仕組み」の実現に向けて、様々なビッグデータを統合的に管理するデータプラットフォームの構築が有用であると考える。例えば、当研究所は交通事故、紙アンケートによるヒヤリハットなどの様々な交通安全に係るビッグデータを蓄積しているため、豊田市の交通事故に向けて、これらのビッグデータを活用することが求められている。本「仕組み」を検討・構築することで、今後、豊田市の交通事故対策への提言につながる有効な政策検討支援が可能となるだろう。 本研究は豊田市における交通安全に係るビッグデータを活用したプラットフォームの構築方法を提案することを念頭に入れ、国内外のデータプラットフォームの最新動向を整理した上で、豊田市と研究所双方がデータを共有するための効果的なデータプラットフォームの構築を試みることを目的とする。 1-2 研究特徴 本研究の特徴は次のように挙げられる。 まずは、これまで研究所が蓄積してきた交通安全に係るビッグデータを活用した新たな方法を検討する点である。具体的に、当研究所が関与した様々な交通安全に係るビッグデータを用いて、点(交差点)、線(道路区間)、面(メッシュ)それぞれを対象としたデータの新たな蓄積・活用方法を整理しようとしている。 そして、これまでの自主研究成果を踏まえた発展的調査研究を遂行する点である。平成29年度の自主研究では、中国の深圳市における交通系ビッグデータを管理する組織の担当者を対象にヒアリング調査を実施し、先進的なデータプラットフォームに関する知見を整理した。本研究は当該研究の延長線上にあり、発展的な研究遂行を目指そうとしている。 そして、多様な有識者へのヒアリングや有識者を招いた研究会の参加による検討を深度化する点である。具体的には、データプラットフォームの構築に関する最新の動きを把握するため、学会参加を通じて、交通安全に係る有識者や専門家から意見を徴収したり、豊橋技術科学大学、中京大学、国士館大学と連携して進めている近隣交通安全研究会の場で議論したりすることを通じて、幅広い視点からの検討を行おうとしている。 1-3 研究内容 本研究の流れは図 1-1に示す。本研究は「文献調査」、「基礎データの整理」、「データプラットフォームの構築及びその活用方法」の三本柱で研究を推進してきた。研究内容は次の通りである。

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る