交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
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27 表 4-7 一般交通量調査 箇所別基本表の例 4-1-3 オープンデータ整理の小括 以上のように、交通安全に係る総合指標構築において特に有用性が期待できるものを中心にオープンデータを収集した。特に内閣府で整理が進められる「経済・財政と暮らしの指標「見える化」 データ集」は多数の社会指標が網羅的かつ時系列で整理されており、その有用性が高いことがうかがえた。他方、日本道路交通情報センターから提供される「一般道路の各種情報提供」は、交通安全に係る総合指標構築において、極めて有用性が高いものの、網羅的にデータ構築が行われておらず、市町村レベルでの都市比較における利用では課題があることがわかった。また、自動車保有台数はオープンデータとしては網羅的に整備されておらず、自動車検査登録情報協会などから有償にて提供されていることがわかった。その他、利用交通手段については、通勤・通学目的に限定されるものの、国勢調査を通じて市町村別の整理が可能であること、国道、県道、主要市道などの主要道路に限定すれば、交通量などの交通関係指標は、道路交通センサスの一般交通量調査データを活用すれば整理は可能ではあるが、データの代表性に課題があることがわかった。 以上の整理を通じて、使用できるデータの制約を踏まえながら交通安全に係る総合指標構築を次節から試みることとする。 4-2 方法 安全の定義について、大辞林第三版によれば、「危害または損傷・損害を受けるおそれのないこと。危険がなく安心なさま。」とある。すなわち、「交通安全」とは、交通の場面において、「危害または損傷・損害を受けるおそれのないこと」であり、顕在化した「事故」のみならず、その背景にある「要因」を含めて考えていくことが重要であると考えられる。 この考え方を踏まえ、総合指標である交通安全力は、「交通事故」の実態と背景要因である「交通事故と関連性が強い社会指標」の関係性によって表現されるものと仮定する。具体的には、図 4-1に示すように、交通事故の推定モデルにより出力される推定事故件数の結果が、実際の交通事故件数どの程度乖離しているか、すなわちモデルによる回帰式から算出される値との差である残差によって、交通安全力を表現する。当該自治体の残差がマイナス

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