交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
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平成30年度 自主研究概要 報告者:楊甲 研究分野 1.暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2.解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み 研究の背景・内容 第8次豊田市総合計画の中で、厳しさを増す財政状況は豊田市が抱える脅威の一つとして明示されている。このため、実施する政策の妥当性の判断や、実施した政策評価を効率的・効果的に行える「仕組み」が求められている。この「仕組み」の実現に向けて、様々なビッグデータを統合的に管理するデータプラットフォームの構築が有用である。また、当研究所では、交通安全に係わる様々なビッグデータを蓄積している中で、これらのビッグデータをさらに活用することを通じて、豊田市における交通事故削減に貢献することが求められている。 これらの研究背景を受けて、本研究では豊田市における交通安全に係るビッグデータを更に活用するため、豊田市と研究所双方がデータを共有するための効果的なデータプラットフォームの構築を試みることを目的とする。このため、本研究では、文献調査、基礎データの整理、データプラットフォームの構築及びその活用方法の三本柱で研究を推進した。 研究結果・ 得られた知見等 ■基礎データの整理 本研究は、愛知県警から受領した交通事故データ、研究所独自で調査したヒヤリハットデータ、そして、自主研究による自動車の急減速データを地理情報システムに集約した。それに加えて、豊田市の外環状線+α地域の速度規制データ、豊田市全域のデジタル道路地図データなども集約した。 ■データプラットフォームの構築 本研究では、公益財団法人交通事故総合分析センターが構築した交通事故分析システムを参考しながら、国土地理院が公開しているオープンデータを用いて、交通事故件数の集計・可視化ツールを独自で開発した。この可視化ツールは事故属性の組み合わせによって、100m、250m、500mメッシュを対象単位として事故件数を可視化する機能を備える。また、交通事故位置をプロットする機能も備える。 ■データプラットフォームの活用方法 本研究では、交通安全に係わる様々なビッグデータを活用することを念頭に入れて、まずは豊田市全域の250mメッシュを集計単位として、生活道路における交通事故件数の推定モデルを構築した。そして、市区町村のオープンデータを用いて、分析対象の交通安全性を評価するための総合指標である「交通安全力」を構築した。これらの指標を用いて、交通事故対策に関する方策提案を行った。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む ■本研究の特徴 本研究では、交通安全に係わるビッグデータの最新動向を整理したうえ、フリーソフトウェアのQGISを用いて、研究所が保有している様々なビッグデータを集約した。これらのデータを用いて、地区別の交通安全性を評価するための評価指標(事故件数、一人当たりの事故件数等)が簡単に作成できる。 ■社会への貢献 本研究では、構築したデータプラットフォームを活用し、豊田市地区別や市区町村の交通安全性を評価するための評価指標が作成できる。これらの結果を踏まえ、交通事故対策を検討する知見を提示することは可能である。また、本研究で構築したデータプラットフォームは豊田市のみならず、豊田市以外の地方自治体にも活用できる。 所内の担当者氏名・ 担当者 主担当:楊 甲(総括、文献調査、QGIS可視化ツールの開発) 担当:三村泰広(市区町村を対象とした「交通安全力」総合指標の構築) 担当:坪井志朗(豊田市地区を対象とした生活道路の事故件数推定モデルの構築) 協力先名 豊田市役所 地域振興部 交通安全防犯課(ヒアリング調査先) 問題点・課題・今後の研究予定・その他 ■今後の予定 本研究成果の一部はアメリカTRB年次大会等に投稿予定。 関連論文(H30年度) (当年報掲載ページ) Analysing Household Vehicle Ownership in the Japanese Local City: Case Study in Toyota City P.〇〇〇 速度規制標識が無い生活道路における助言型ISAの速度抑制効果検証 P.〇〇〇 生活道路に着目した交通事故予測モデルの検討 P.〇〇〇 Developing a Timely and Simple Method to Evaluate the Effect of Transportation Demand Management Campaign in Toyota city, Japan P.〇〇〇

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