19 2. 用途地域種別では、商業地域の推定値が高くなっている。また、低層住居専用地域では人対車両の推定値はプラスであるが、車両相互ではマイナスの値をとっており、低層住居が多い住宅街においては、生活道路を走行する車と近隣住民との交通事故が多い可能性が考えられる。 3. 交差点密度、道路密度は有意であり、推定値はプラスであることから、交差点が多く、道路が密集している生活道路では交通事故が起こりやすいことが考えられる。 3-6 小括 本章では、生活道路の交通事故に着目して、ポアソン回帰分析により事故に影響する要因について分析した。また、本章では、ポアソン回帰分析によって、生活道路の交通事故の影響要因の強弱について把握した。しかし、本分析の結果の精度は高くなく、課題を残した。今後の方向性としては、モデルの精度の向上として、説明変数の増加や負の二項定理、0インフレーションモデル等の他の分析手法の検討をする。また、研究分析を踏まえ、生活道路の交通事故が起こりやすい地域に対する対策(ゾーン30地区の選定等)を検討する。 3-7 参考文献 1) 国土交通省。交通事故の現状、http://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/sesaku/anzen.html、2019/3/13に閲覧。 2) 森地茂、浜岡秀勝。交通事故分析のためのGISの構築方法に関する研究、GIS-理論と応用、Vol.2、No.1、7頁、pp.41-46、1994。 3) 鹿野島秀行。データマイニングを用いた交通事故分析、土木計画学研究・講演集、No.22(2)、4頁、1999。 4) 村瀬満記、秋山考正、奥嶋政嗣。交通事故多発交叉点に関する事故要因分析システムの構築、土木計画学研究・講演集、No.21、no.4、10頁、2004。 5) 小澤友記子、兒玉崇、大藤武彦。阪神高速道路の事故要因分析と今後の事故削減に向けた課題、第30回交通工学研究発表会論文集、No.29、4頁、2010。 6) 多田昌裕、飯田克弘、安時享、山田憲浩。事故調書に基づく高速道路における高齢運転者特有の事故パターン分析、第32回交通工学研究発表会論文集、No.22、4頁、2012。 7) 三村泰広、手島知昭、佐々木僚、小野剛史、安藤良輔、小塚一宏、小沢愼治。運転者の性格からみた生活道路におけるISAの効果分析、第11回ITSシンポジウム2012、6頁、2012。 8) 山田晴利。交通事故の空間分布パターンの分析、第18回交通事故・調査分析研究発表会、19頁、2015。 9) 金進英、宇野巧、岩里泰幸、大藤武彦。量的・質的データを融合した事故要因分析による新たな交通事故分類と安全対策の方向性、交通工学論文集、第3巻、第4号(特集号A)、10頁、2017。
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