交通安全に係るビッグデータを活用するためのデータプラットフォーム構築の試み
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14 3. 生活道路に着目した交通事故推計モデルの構築 3-1 研究の狙い 近年、死亡事故件数は減少傾向にあるが、車道幅員5.5m未満の道路(以下、生活道路と称する)での死亡事故件数は5.5m以上の道路に比べ、減少率が小さい(図 3-1)。また、愛知県は16年連続で全国最多の交通事故死者数であり、交通事故全体の減少が緊急かつ重要な課題となっている。その対策として、生活道路における取り締まり活動の強化や歩行者保護活動を徹底し、歩行者優先の社会への移行を図っている。 本章では、生活道路での事故対策を検討するため、生活道路上での事故発生箇所の特徴や要因について分析する。 図 3-1道路種別の交通事故件数の推移1) 3-2 交通事故分析に関する既往文献の整理 交通事故分析に関する既往文献として、表 3-1のように整理した。 分析対象として、交通事故のポイントで分析している研究が多く、メッシュ単位では1kmメッシュもしくは500mメッシュでの分析である。本章では、分析対象として、250mメッシュを採用しており、細かい地域の交通事故分析ができることに特徴がある。しかし、メッシュサイズを小さくすると、交通事故の要因判別の難易度が高くなり、分析精度が低くなることに留意する必要がある。 分析手法は、研究の目的により様々であり、交通事故の発生に関連する要因分析を行うポアソン回帰分析や決定木分析、交通事故の多発箇所の分布パターンと重大事故のパターンの間に差があるかどうかを見るために、交通事故が集中している地域を推計するカーネル密度推計等、様々な分析手法を用いて、交通事故分析を行っている。

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