⾼齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
24/140

18(5)⾼齢運転者の安全確保に向けた⾏政の取り組み 前述したように、⾼齢運転者への対策として、運転免許⾃主返納の促進や、先進安全技術の活⽤等が議論されている2)。これは、警察庁が「⾼齢運転者交通事故防⽌対策に関する有識者会議」の「⾼齢運転者交通事故防⽌対策に関する提⾔」に基づき、有識者会議の下に3つの分科会「認知機能と安全運転の関係に関する調査研究」「視野と安全運転の関係に関する調査研究」「⾼齢者の特性に応じたきめ細かな対策の強化に向けた運転免許制度の在り⽅等に関する調査研究」を開催している。 また、⽇本政府は⾃動ブレーキの新⾞乗⽤⾞搭載率を2020年までに9割以上とする⽬標を掲げている17)。さらに、⽇本やEU(欧州連合)など40カ国・地域が衝突被害軽減ブレーキ(⾃動ブレーキ)の導⼊を義務付ける原案に、2019年2⽉に合意している18)。 ⾃動ブレーキなどの先進運転⽀援システムの普及が加速することが期待される。 (6)公的機関による後付けADASの評価の取り組み 公益財団法⼈⽇本⾃動⾞輸送技術協会(JATA)が「後付け安全装置の性能評価制度」を2018年4⽉に創設している。この事業は、⾼齢ドライバー等の安全対策に資するとされる後付け安全装置について客観的な性能評価を⾏い、期待される効果とともに、使⽤時の注意点等を取りまとめて、ユーザーへ提供することを⽬的とするものである。2019年1⽉時点で公表されている結果はない(メーカーの希望により⾮公表にすることも可能な制度)。 (関連サイト:http://www.ataj.or.jp/trust/atozuke_anzen-gaiyo.html) (7)⽂献調査を踏まえた後付けADASの位置づけ、及び本研究の位置づけ 以上の整理を踏まえ、後付けADASと本研究の位置づけを表2-2に整理する。 表2-2 ⽂献調査を踏まえた後付けADASおよび本研究の位置づけ 17 国⼟交通省:運転⽀援技術・⾃動運転技術の進化と普及、http://www.mlit.go.jp/common/001213451.pdf 18 ⽇本経済新聞:⾃動ブレーキ搭載義務化、40カ国が合意 国連発表、2019/2/13、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41197100T10C19A2000000/ 現状の取り組みなど課題後付けADASおよび本研究の位置づけ後付けADASの位置づけ運転免許返納制度地方都市では移動を自動車に頼らざるを得ない場面が多い移動を自動車に頼らざるを得ない高齢者の交通安全確保に効果が期待されるサポカーの普及サポカーは新車に限定される軽自動車のADASは性能が劣る傾向高齢者はクルマの更新が控えられる傾向車両更新意向の低い高齢者に対して、比較的簡易に利用できる製品として期待される高齢運転者の安全運転対策高齢運転者の特性から「自覚」と「自発的行動」が求められる運転を続ける上で身体能力面の不安を持つ高齢者が多い後付けADASにより自らの運転を客観的に評価されることで、自覚する機会が得られる不安を抱える身体能力面を補う効果が期待される本研究の位置づけ後付けADASの効果や課題の検証検証はあまり進んでいない(特に高齢者)→引き続き文献調査を進める本研究で高齢者運転者に対する後付けADASの効果や課題を検証する後付けADASに対する補助制度事業所向けはあるが個人向けはみられない本研究で高齢運転者への後付けADASの普及方策を検討する

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る