⾼齢運転者を対象とした後付け型ADASの多様な効果に関する研究
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174)⾼齢運転者のADAS等の先進技術に対する意識調査 Gisha et al. (2017) は⾼齢運転者が⽇常運転⾏動に基づいて先進⾞両技術に対する認知度を明らかにするため、60才以上の⾼齢者35名(男性20名、⼥性15名)を対象にインタービュー調査を実施した。なお、調査対象の⾃動⾞には⼆つ以上の先進⾞両技術機能が装備している。その結果、加齢に伴う変化は⾼齢者が⾃動運転⾞を求める最も重要な理由ではないが、先進⾞両技術は⾼齢者の加齢に伴う運転⾏動の低下を補う効果があることを期待していることが分かる。また、⾃動運転⾞は⾼齢運転者に、楽な運転感覚を提供し、こういう楽な感覚は便利、使いやすさ、安全感覚の向上と同等視するものであることが分かる15)。 Bellet et al. (2018) は⾼齢運転者⽇常運転の難しさやそれがADASや⾃動運転⾞に対するニーズや期待を把握するため、⼥性⾼齢者15名、男性⾼齢者15名を対象に、集団的なアンケートに基づくフォーカスグループ調査を実施した。なお、これらの調査対象は、事前にフランスローヌ県で76名⾼齢者に対象とした公道実験の被験者の中で選定された代表者であり、この調査を通じて、代表者⽇常運転の難しさやそれがADASや⾃動運転⾞に対するニーズや期待を把握した。その結果、左折挙動は⾼齢運転者に対する危険な運転場⾯であることや、運転の難しさに対する相対的な認知度が低いことが分かる。そして、性別による違いがあり、男性と⽐較して⼥性の⾼齢者は⼀部の運転場⾯(交差点の通過や⾼速道路の流⼊や⾞線変更)における難しさが顕著に存在することや、運転⽀援に対する態度や期待については性別による違いが限られたことがある。また、⾼齢運転者が⾃動運転⾞に対する受容性や期待についての調査結果から、⾃動運転⾞は⾼齢運転者にとって、現段階のみならず、認知や⾝体能⼒の障害が⽣じる将来においても、モビリティを確保するための⼿段となること等の知⾒が分かる16)。 15 Jessica GISHA, Brenda VRKLJANB, Amanda GRENIERC, Benita Van MILTENBURG. Driving with advanced vehicle technology: A qualitative investigationof older drivers’ perceptions and motivations for use. Accident Analysis and Prevention, Vol. 106, 498-504, 2017. 16 Thierry BELLET, Jean-Christophe PARIS, Claude MARIN-LAMELLET. Difficulties experienced by older drivers during their regular driving and their expectations towards Advanced Driving Aid Systems and vehicle automation. Transportation Research Part F, Vol. 52, 138-163, 2018.

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