16Thompson et al. (2018) は後付け型ADASが運転者の運転⾏動に影響を与える効果を捉えるため、34台の公⽤⾞を対象に、7か⽉間にわたる⻑期間なフィード実験を実施した。実験⽤の後付け型ADASは、Mobileye 560 CATで、前⽅⾞間距離、⾞線逸脱、前⽅衝突、歩⾏者衝突等の⾳声や視覚警報を出せる。その結果、⾛⾏データの解析から、後付け型ADASの稼働によって、前⽅⾞間距離の増加や⾞線維持の改善等の変化がみられるが、後付け型ADASの警報をオフにした後、これらの改善効果がなくなる。そして、⾛⾏中で取得したビデオデータから、25%の前⽅⾞両衝突警報は、前⽅⾞両がない場合でも誤検知したことが分かる。また、利⽤者を対象としたアンケート調査結果から、後付けADASの稼働は運転時の交通安全性の向上につながることがあるが、ADAS警報器が交通事故の防⽌に影響を与える効果がないと感じるため、被験者が後付けADASを利⽤したい傾向がないことが分かる12)。 2)テストコースでのADASの効果を評価した研究 遠藤ら(2018)は⾼齢運転者を対象とした定速⾛⾏⾞間距離制御装置(ACC)の受容性を把握するため、⾼齢者32名(男性21名、⼥性11名)を対象に、苫⼩牧市におけるテスト⾛⾏実験を実施した。その結果、ACC装備⾞の運転体験前と⽐較して、運転体験後では殆どの被験者はプラス主観的な評価を与えることが分かる。⼀⽅で、運転中におけるACCシステムの急なオフ作動が該当⾞両に対する評価結果を低下させることが分かる13)。 3)ドライビングシミュレータによる後付けADASやADASの効果を評価した研究 Dotzauer et al. (2015) はADAS情報提供が交差点通⾏時の運転⾏動安全性を向上させる効果を検証するため、健康な⾼齢運転者18名及び健康な⾮⾼齢運転者18名を対象に、ドラミングシミュレータを⽤いて室内実験を実施した。その結果、⾼齢運転者・⾮⾼齢運転者の双⽅に対する効果があり、交差点通過時間や停⽌率の低下、通過速度や臨界交差点通過回数の増加がみられる。また、ADAS⾮利⽤群と⽐較して、ADAS利⽤群は交通事故回数が低下すること等の知⾒を得ている14)。 12 James P. THOMPSON, Jamie R.R. MACKENZIE, Jeffrey K. DUTSCHKE, Matthew R.J. BALDOCK, Simon J. RAFTERY, John WALL. A trial of retrofitted advisory collision avoidance technology in government fleet vehicles. Accident Analysis and Prevention, Vol. 115, 34-40, 2018. 13 遠藤幹⼤,和⽥脩平,萩原亨,浜岡秀勝,⼆宮芳樹,多⽥昌裕.⾼齢運転者を対象とした定速⾛⾏⾞間距離制御装置(ACC)の受容性に関する研究.⾃動⾞技術会論⽂集,Vol. 49,No.1,2018. 14 Mandy DOTZAUER, Dick de WAARD, Simone R. CALJOUW, Gloria PÖHLER, Wiebo H. BROUWER. Behavioral adaptation of young and older drivers to an intersection crossing advisory system. Accident Analysis and Prevention, Vol. 74, 24-32, 2015.
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