1 1.はじめに 1-1.研究の背景及び目的 近年、人口の急激な減少と高齢化を背景として、環境負荷、財政問題に対応しながら住民が公共交通により生活利便施設等にアクセスできるように都市全体の構造を見直し、『コンパクトシティ・プラス・ネットワーク』型の都市構造が推進されている。豊田市は、都市的土地利用と70%を占める自然的土地利用を基本とし、図 1-1のように広大な市域を効率的に管理するため、「選択と集中」により「核」と「ネットワーク」を強化し、多核ネットワーク型都市構造を目指している。 図 1-1 豊田市都市計画マスタープラン(2018.3) 移動時間・コストに基づき、住民がどの程度アクセスしやすいか(以下、アクセシビリティ)が都市構造や利便性の評価に多く用いられるが、都市機能の集約を考慮した評価手法や自治体における定量的な目標が明確だとは言い難い。公共交通網の再編や既存施設の廃止を伴う都市機能の集約は、地域によっては利便性の低下につながる場合もあり得るため、都市機能の分布と交通網に基づいたアクセシビリティの現況を定量的に把握し、将来の計画を評価する必要である。特に、高齢化が進む中で、運転ができなくなってもアクセシビリティが確保されている都市構造が重要である。図 1-2の第3次豊田市住宅マスタープランでの高齢者を対象とした調査結果を見ると、車の運転ができなくなった時の移動の不安への回答が最も多いことが見られる。
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