都市機能集約と人口変動を考慮したアクセシビリティの観点からの都市構造評価
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24 6.施設・公共交通網の重要度の評価 本章では、住民の利便性を維持するために、既存施設及び路線の重要度を前章の結果に基づき分析する。今後、人口減少により、施設や公共交通の維持が困難になることが多く考えられ、本章の結果は、事前に施設と路線がどの程度地域の利便性に寄与しているかを定量的に把握し、施設・路線の再配置は、公的な政策による保護、支援における基礎として活用することが期待できる。 6-1.施設の重要度の評価 拠点候補地の定義 施設が集約されており、実際に住民がアクセスできる地点は、拠点として機能しやすく、地域に住民の生活の基盤となっていると考えられる。そこで、本研究で設定した移動パターンにおいて、公共交通パターン及び送迎パターンにより利用される施設の組み合わせを拠点候補地として定義する。 4章で定義した3つの移動パターン(自家用車、送迎、公共交通)の中で、送迎パターンと公共交通パターンにより利用される施設を拠点の候補地とする。2つのパターンのみ考慮する理由は、将来に住民の利便性の維持または向上のためのモビリティの導入や施設の移転などを考える際に、自家用車パターンのように分散した施設を利用する移動を支援することは難しいと判断されるためである。 病院と銀行はその数が多いため、同じスーパーマーケットを利用しながらも居住地との距離により、利用する病院と銀行は異なるケースもありうる。そこで、図 6-1のように利用するスーパーマーケットが同じであれば、一つの拠点とみなす。 そこで、スーパーマーケットを以下の3つに区分することができる。 ① 徒歩連携集約型:利用者の交通手段が徒歩のみである立地 ② 公共交通連結集積型:3つの施設が徒歩で巡回でき、かつ公共交通によりアクセスする利用者がいる立地 ③ 自家用車連結集積型:3つの施設が徒歩で巡回でき、自家用車と徒歩によるアクセスする利用者のみいる立地 ④ 施設集積未利用型:3つの施設が徒歩で巡回できるものの、利用されない立地 ⑤ 独立立地型:周辺に病院や銀行が立地しなく、徒歩での巡回ができない立地

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