平成30年度 自主研究概要 報告者: 嚴先鏞 研究分野 1暮らしを支える交通、2.都市空間を創出する交通、3.交通の安全・安心 業務類型 1.調査、2解析、3.政策検討、4.その他 研究題目または 報告書タイトル 都市機能集約と人口変動を考慮したアクセシビリティの観点からの都市構造評価 研究の背景・内容 • 公共交通網の再編や既存施設の廃止を伴う都市機能の集約は、地域によっては利便性の低下につながる場合もあり得るため、都市機能の分布と交通網に基づいたアクセシビリティの現況を定量的に把握し、将来の計画を評価することが必要である。 • 本研究では、近年の立地適正化計画の拠点のような都市機能の地理的な集約による複数の都市機能の利用を考慮してアクセシビリティを評価し、アクセシビリティの低下を防ぐための対策を検討することを目的とする。 研究結果・ 得られた知見等 • 病院、銀行、スーパーマーケットの3つの施設を対象都市、最寄り施設までの平均距離と巡回距離を比較した結果、都心から離れた山間部のみならず、都心の周辺部でもギャップが大きい場所が存在しており、実際に複数の施設を利用する際には不便を感じる可能性がある。 • 全人口の半分が公共交通による移動でも約36分以内の地域に居住している。自家用車による移動は便利であるものの、公共交通による利用が不便である地域は、居住地の48.9%を占め、約44%の人口が居住している。• 公共交通が相対的に不便である地域の中では、「路線網による不便」の地域がほとんどであり、路線網の調整による利便性の向上が考えられる。また、「施設分散による不便」がある可能性が高い地域は、山村部のバス路線の近くに多く分布している。 • 施設の重要度を分析した結果、郊外部の周辺に他の店舗がない立地では、公共交通利用不可人口と移動時間増加の最大値が大きく、交通結節点では、移動時間増加の総和が大きい。バス路線の重要度分析結果、多くの施設を経由し、かつ都心まで乗り換えせずにアクセスできる路線の利用者が多い。また、代替路線がない路線の場合、廃線による影響が大きい。 研究成果 社会への貢献、 報告、技術的特徴等 *予定含む• 複数の施設の利用を考慮したときのアクセシビリティに基づき、 地域別にアクセシビリティの確保のための課題を「公共交通網による連結が必要である地域」、「施設の集約が必要な地域」に区分し、対策の方向性を提案した。 • それぞれの施設集約地点とバス路線が豊田市全体の利便性に貢献している程度を定量化することにより 、意思決定者が施設や公共交通網の再編における決定の際に、基礎データとして活用できる。 • 提案した利便性指標に基づき、持続的なモニタリング及び将来の政策の評価に活用することにより、根拠に基づいた計画に寄与できる。 所内の担当者氏名・ 担当者 責任者・主担当者:嚴 先鏞 協力先名 豊田市企画政策部都市計画課、豊田市都市整備部定住促進課 問題点・課題・今後の研究予定・その他 バスの運行頻度や乗り換えなど現実的な公共交通利用パターンを反映すること、複数の目的におけるアクセシビリティが住民の交通手段の選択や外出行動に与える影響を分析すること、ライフサイクルによる様々な移動パターンを考慮することが課題として挙げられる。 関連論文(H30年度) (当年報掲載ページ) 日常生活において複数の目的を持つ移動の利便性評価
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