20 公共交通利用者が不便になる原因の定義 自家用車パターンと公共交通パターンの両方において不便である地域は、周辺に施設がないことが不便である原因である。ここでは、自家用車に比べて、相対的に不便になる地域に着目する。自家用車パターンは便利であるものの、公共交通パターンが不便になる理由は、「公共交通網による連結に不備があること」、「施設が分散していること」が考えられる。 3つの移動パターンの移動時間のレベルを比較することで不便になる理由を考察する。公共交通パターンと送迎パターンで選ばれた3つの施設の重心を施設集約地点と定義する。 ① 公共交通網による不便:送迎パターンと公共交通パターンの比較 ・ 送迎パターンと公共交通パターンは、両方周辺の施設集約地点への移動するパターンである。送迎パターンは、公共交通網の有無による制約がないパターンであるため、2つのパターンを比較することで、公共交通網があるものの、最寄りの施設集約地点とつながっている路線がないことにより、不便になる地域が把握できる。 ・ 公共交通パターンの利便性のレベルが送迎パターンと同じであれば、公共交通網の連携が優れていると判断できる。一方、公共交通パターンのレベルが送迎パターンより大きい場合には、最寄りの集積地点との公共交通網による連携が不便を及ぼす可能性がある地域であると言える。 ② 施設の分散による不便:自家用車パターンと送迎パターンの比較 ・ 自家用車パターンと送迎パターンは、両方公共交通網の有無による制約がない移動パターンである。2つのパターンの移動時間を比較することで、施設の分散により、不便になる地域が把握できる。 ・ 送迎パターンによる移動時間が自家用車パターンと同じレベルであれば、周辺の施設が徒歩圏内に集約していると判断できる。一方、送迎パターンのレベルが自家用車パターンにより大きい場合には、周辺の施設が分散しているため、徒歩による施設の回遊に不便が生じている地域であると言える。
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