立地適正化を見据えた豊田市の人口動態に関する基礎的調査研究
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11.はじめに 1-1.研究の背景 ⾃治体経営にとっても⼈⼝減少への対策は必要であるが、そのために無秩序な宅地開発を許すと⾏政にも居住者にとっても将来の負担となる可能性がある。具体的には、⾏政にとっては新たな宅地が増加することは、その分インフラの維持管理コストが増加することになる。また、居住者にとっては将来に渡って現在の⽣活環境が維持されないことが懸念される。 ⼀般的には以上のようなことが⾔われているが、現在の⼟地や家屋の市場環境を考えると、都市施設の集積や⼈⼝の居住誘導が計画されることが多い都⼼部は、転居希望者にとって経済的な⾯で住まいたくても住めないという現状も存在すると想定される。都⼼居住推進という政策ニーズと居住者のニーズの間にこうしたギャップが存在するのであれば、その実現は容易ではないだろう。 ⼀⽅で、⼟地や家屋の購⼊だけで考えると⾼い買い物でも、税⾦その他のコストを総合的に考えると、果たして⾼い買い物であるかどうかの検証はなされていない。都⼼に住まうことが費⽤の⾯から総合的に考えて⾼い買い物ではないとすれば、都⼼居住推進という政策の実現が⽤意となる可能性がある。 1-2.研究の⽬的 そこで本研究では、新規居住場所の違いによって、世帯と⾏政のそれぞれにどのようなメリット・デメリットがあるのかを費⽤の⾯から総合的かつ定量的に評価することを⽬的とする。 その結果を踏まえ、これからの居住地選択に関連する施策を提案する。 1-3.研究の流れ 本研究の流れは次のとおりである。 まず第2章では、豊⽥市の⼈⼝動態や都市を取り巻く状況について確認する。豊⽥市の歴史的な街の成り⽴ちや、都市計画の内容、⼈⼝動態、地価の推移等を整理する。 そして第3章において、豊⽥市における新規居住場所の違いが世帯や⾏政の収⽀に及ぼす影響を定量的に検証する。 第4章において、本研究のまとめを⾏う。

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