豊田市におけるタクシーを活用した外出支援策に関する研究
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72 (2)投資可能額の考察 増収を⾒込んだ場合、年間投資可能額は約750万円となる。つまり、自動運転タクシー1台を1年間⾛⾏させるために(監視に係る人件費を含む)、約750万円を投資しても収支がバランスする。 まず、ZMPのパッケージについて考える。このパッケージを利用することで実証実験として自動運転を⾛らせることができるといえる。初期投資額が8,000万円で、仮に10年間使用するとした場合、単純計算で年間800万円+αの費用となる。このままでは先に計算した年間投資可能額を超過する。現在の技術では、自動運転タクシーで利益を上げることは困難といえる。 自動運転タクシーの実用化に向けては、技術開発や量産化等による価格の低廉化が必要と言える。その反⾯、技術開発や量産化が進み限界費用を小さくすればするほど利益を生みだす構造にある。いかに自動運転タクシーの運⾏コストを下げることができるかが、実現の鍵を握っていると言える。 また、春日井市や永平寺町の事業では、自動運転に必要となるインフラ整備を⾏っている。永平寺町では、廃線跡の鉄道敷を自動⾛⾏⾞が⾛⾏可能となるようにするための⼟⽊⼯事費も含まれているため、⾦額が大きい。春日井市は、⾼精度3Dマップの作成のみの費用である。マップ作成エリアは不明であるが⾯的な整備がなされていると想定される。ただ、初期投資額としては決して小さくはない。規模の大きくないタクシー事業者にとっては負担するには厳しい⾦額だろう。 ⾼精度3Dマップ等必要なインフラの整備は、⾏政による整備や補助による支援、あるいは自動運転移動サービスを大規模に⾏う大⼿企業による整備が現実的といえる。 次節においては、インフラ整備や⾞両保有、運⾏管理等の役割毎に、どのような主体が担うと想定できるかについて検討を⾏う。

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