豊田市におけるタクシーを活用した外出支援策に関する研究
65/82

62 2-2-2.事業者ヒアリングのまとめ タクシー業界は、タクシー事業の根幹であるとも言える乗務員の確保に重大な懸念を抱えている。その解決のためだけを考えても、自動運転に対する期待は小さくない。さらに、安全性の向上、利用者サービスの向上、売上の向上等、自動運転をはじめとする先進技術に対する期待は大きい。 一⽅、自動運転の導入に向けた議論の⽅向性がまだ⾒えていないために、身動きが取れない状況にあることがわかった。また、自動運転が導入された状態での事業の姿も不透明な状態である。自動運転導入の⾏⽅を⾒定め、タクシー業界の将来像を戦略的に描き、⾏動していくことが求められるだろう。 そのためにも、自動運転開発の重要な部分を担い、法律や制度を司る国の役割は大きい。事業者が自動運転の導入に向けて動き出せる環境を整えることが重要である。人⼿不足による問題が噴出するのが早いのか、自動運転タクシー等先進技術の導入が早いのか、予断を許さない状況にある。 後者の状況に陥るとすれば、窮余の策として現在タクシー業界が導入を反対しているUberに代表されるライドシェア(いわゆる⽩タク)の導入を選択肢とせざるを得なくなる恐れもあり、注視していく必要がある。 いずれにしても、5年後や10年後の事業全体の姿を⾒通し、来るべき時代に向けて戦略的に⾏動を起こすことが事業者にとって重要であること、そして、そのための環境を社会全体として整えることが、⾏政、学術、企業、そして市⺠にとっても重要といえるだろう。

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る