中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向に関する調査
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76 ョンの整備も公共的に推し進めている。深圳市においては、中国のEVメーカー最大手「比亜迪(BYD)汽車有限公司」(以下、BYDと称する)の本部が当市の郊外に立地しており、EVの普及を目指す優れた条件が整っている。 表 4-2 大都市のナンバープレート規制(2016年末時点) 都市名 交付規制 利用規制 北京市 抽選 全体地域、一部車両、期間限定 上海市 競売 一部地域、一部車両 広州市 抽選・競売 無 深圳市 抽選・競売 無 注:各種資料をもとに作成 上記のような社会的背景を念頭に、深圳市では、自動車交通需要への対応として、会員間で車両を共同利用するカーシェアリングサービスの普及を目指している。カーシェアリングサービスは中国国家戦略として位置づけられるシェアリングエコノミー推進の一環として実施し、そのビジネス市場が拡大していくと推計されている37。深圳市では、環境負荷の低いEVを用いたシェアリング事業の展開方法に関し、市主導で民間企業を対象とした実施策提案を募って営業を許可する仕組みをとっている。我々がヒアリングの対象とした「聯程共享(UNITED JOURNEY)有限公司」(以下、「聯程共享」と称する)は提案した事業計画が市の評価でトップとなって採択され、EVシェアリングサービス(500台)を提供する許可を受けた。 4-3-2 深圳市におけるEVシェアリングの現状 「聯程共享」は2015年8月より運営開始し、提供しているEVシェアリングサービスは貸出場所と返却場所が異なってよいワンウェイトリップ型である。2017年7月時点において、貸出・返却ステーションは100箇所以上で、導入車両は深圳市で589台である。利用車種及料金体系は表 4-3の通りであり、利用するに当たって保証金(500元=約8,600円)を支払う必要がある。現在もステーション数を増やし続けている中で、登録会員数が増加の一途を辿っている。 「聯程共享」は中国国内において大手6社に入る38(表 4-4参照)。ナンバーワンの「上海共享汽車(EVCARD)」が全国の最大手として、中国29都市において、100万人の利用会員にEVシェアリングサービスを提供している。「聯程共享」は「上海共享汽車(EVCARD)」 37 出典:普华永道思略特,南方日报、https://www.strategyand.pwc.com/media/file/Development-trends-of-car- sharing-market-in-China_CN.pdf(中国語) 38 出典:週刊ダイヤモンド、http://diamond.jp/articles/-/144670?page=3

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