中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向に関する調査
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43 2-4 小括 交通安全対策を検討する際、3つのE(Education:教育、Engineering:工学的アプローチ、Enforcement:交通違反の取締り)が重要であると一般的に考えられている。日本においては、交通安全教育は世界的に最も進んでいる国の一つであると評価されている。工学的アプローチに関しても、自動車工学と道路交通工学等に関する研究が当研究所の研究員を含めて日々努力して世界的に見てもトップクラスの対策が講じられている。しかし、私見であるが、交通違反の取締りは世界的な動向に比較して十分とは言えないと考える。その背景の一つには、マスコミでも取り上げられたように、取締りを行える警察官の人数が不足していることである。 そうであれば、少ない警察官でも、取締りを行えるIoTを活用すべきではないだろう。2017年9月8日の中日新聞の夕刊でこんな記事があった。国土交通省と警察と連携して、9月末から順次2017年内に、5か所で車検切れ自動車を自動検知して取り締まる実験を行う。その記事によると、車検切れの車やバイクは全国で約20万台と推定されている。この一連の実験では、道路脇に設置されるナンバー読み取り機で検知して、車検の登録データベースと瞬時に照合して、車検切れの車両と分かれば、ただちに交通切符を交付し、車の走行を止める。これは、まさに日本でのIoTを活用した取締りの第一歩であると言える。また、中国の事例をヒントに考えれば、車検切れに止まらず、速度違反、赤信号違反、横断歩道での歩行者優先違反等現在交通事故死の大きな原因になっている交通違反にも拡大すべきだと考える。

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