中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向に関する調査
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39 2-3 ITSによる交通管制システムの開発及び応用の最新動向 調査対象である安徽科力情報産業有限責任会社の事例を用いて、ITSによる交通管制システムの開発及び応用の最新動向を説明する。なお、このIT会社が位置する都市である合肥市の概要を紹介する。合肥市は中国中部の安徽省に位置する都市で、安徽省の省人民政府が置かれる省都で、地域の政治・経済・文化の中心である。都市では、総面積が7,266 km2、人口が769.6 万人である23。 2-3-1 物損事故遠隔処理システム このシステムは中国での急速な自動車利用の増加に対応したもので、車同士の事故が起こったら、人的傷害がなく、一定の条件に該当しなければ、双方の運転手らが互いに協議して、Wechatによるシステムで処理できるものである24(図 2-10参照)。つまり、まず、現場状況の分かる写真を撮って、双方の車を交通に影響しないまたは影響を最小限にできる場所に移動する。双方の協議で結論に至った場合、SMS(ショットメッセージ)による合意をして、システムにアップロードして、終了となる。双方の協議で結論に至っていない場合、システムに写真等を遠隔当番の交通警察にアップロードして、責任分担について判断を仰ぐ。その判断による結論についてSMSによって承認して、終了とする。ここで、一定の条件とは、人的傷害が伴う事故でないこと、ナンバープレートのない車がないこと、運転免許を有しない運転手がいないこと、飲酒運転またはドラッグの疑いがないこと、車両の移動が不可能でないこと、単独事故でないこと、危険物を運んでいる疑いがないことなどである。 23 出典:ウィキペディア、https://ja.wikipedia.org/wiki/合肥市 24 出典:安徽科力情報産業有限責任会社HP、http://www.ahkeli.com/jiaojing/2016/04/271568.html(中国語)

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