中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向に関する調査
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29 2-2 ITSによる交通取締り及び事故対策の現状 調査対象である深圳市において、ITSによる交通取締り及び事故対策の現状を説明する前に、まずは深圳市の概要について紹介する。深圳市は、中国南部の広東省に位置する都市で、香港の新界と接し、経済特区に指定されている。北京市、上海市、広州市と共に、中国の4大都市と称される「北上広深」の一つであり、「一線都市」に分類されている。住民構成の特徴としては移民都市であり、改革開放経済以来、外部より労働人口が流入し、都市が形成され、広東語が使われる比率が極めて低い地域である18。経済急成長に伴い、車社会が急速に進展しているため、自動車利用によって、道路渋滞、交通事故、大気汚染などの問題が深刻化している。これらの課題を改善することを念頭に入れて、深圳市は様々なITSに関する先端技術を用いた取組みを推進しており、その事例は中国国内では最も成功しているとして評価されている。本節では、ITSによる交通取締り及び事故対策の中で、日本に比べて進展しているものについて、日本にも参考となる応用事例を整理する。 2-2-1 レッドライトカメラ(電子眼)の大量普及 日本でおなじみのオービス(自動速度違反取締措置)に類似するシステムに、赤信号違反を取締まることに重きに置いてあるレッドライトカメラ(Red Light Camera)がある。これは中国では「電子眼」と呼んでいる19(写真 2-1参照)。中国での初めての運用は調査対象になっている深圳市であり、1997年のことである。日本でのオービスの運用やレッドライトカメラを初めて導入したオランダと比較して、かなり後発的であるが、運用の幅と頻度は日本では考えられないものである。近年、中国に行かれて自動車の一番前の列に座ったことがある人のほとんどは、走行中に頻繁に監視機器にフラッシュされて違和感があったのではと推測する。道路種別問わず、都市規模問わず、「電子眼」が導入されている。日本で見られる速度違反やレッドライトカメラの名称の由来にもなっている欧米諸国で見られる赤信号違反の取り締まりに止まらず、Uターン禁止違反、停止線や車線変更規制線違反、逆走違反等々の取締りに使用されている。さらに、車の偽造ナンバー等の取締りにも活用されている。もちろん、中国国内にも異論反論があるが、取締りの公平性・正確性そして現に交通秩序の管理に有効であることから、拡大する一方である。 調査対象地域となっている深圳市では、固定式「電子眼」1,710台が導入され、市内主要交差点および重点道路区間をカバーしている。その効果としては、2017年上半期だけで約53万4千件の取締りが行われて、2016年上半期の約22万7千件に比べて、約1.4倍増加している。取締りの類型をみてみると、最も多いのは深圳市に登録していない車が利用規制時間帯において、市内の道路上を走っているものである。また、取締りの処理状況をみて 18 出典:ウィキペディア、https://ja.wikipedia.org/wiki/深せん市 19 出典:深圳新闻网、http://auto.sznews.com/content/2017-02/06/content_15197627.htm(中国語)

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