中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向に関する調査
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111 5-4 小括 どのようにこの比較の結果をみるかについては、いくつか既存の調査や関連する分析をふれたい。平成28年に、総務省が「IoT時代における新たなICTへの各国ユーザーの意識の分析等に関する調査研究」を題する調査を実施された。その中で、自動運転車の利用意向を聞いてあった。我々は、その調査結果から、日本と中国のデータだけを取り出して比較してみた。その結果は図 5-1の通りである。調査項目数や聞き方の違いから、我々の調査とそのまま比較できないが、日本より中国の方は利用したい割合が高い。つまり、日本より中国はポシティブに評価している点は同じである。 図 5-1 総務省の調査結果 このような新しいこと、イノベーティブなサービスや商品にどう考えるべきかについては、マサチューセッツ工科大学メディアラボ所長の伊藤穣一が書いた『9(ナイン)プリンシプルズ』(早川書房)という本がある。英語の題は『Whiplash』で、日本語で「鞭打ち」という意味である。その9つのプリンシプルの中に、「Disobedience over compliance(従うより不服従)」というものがある。「言われた通りにしているだけでノーベル賞を受賞できた人はいないし、だれかの設計図に従っていただけで、ノーベル賞をもらえた人もいない」や「インターネットの先駆者たちは、だれ一人ビジネスプランなんかなかったし、だれも許可なんか求めなかった。やるべきこと、やりたいことをやっただけだ」と謳いかけている。もちろんは、本はイノベーティブなサービスを積極的に提供すべきであると供給者側についてであるが、その供給者の原動力になるのは利用者側のニーズと期待である。期待する人は少なければ、供給者はビジネスにならないと判断して、サービスを提供しない。

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