中国の都市における交通まちづくりの現状と将来に向けての動向に関する調査
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7 年第1四半期末には210万台弱となった。しかし、渋滞状況は悪化していない。2014年第二四半期、第16位に改善され、2015年第三四半期には全国第28位に、2016年の第1四半期と第2四半期では、全国第29位となった。都市交通渋滞を解消するシステム的な取り組みでは、合理的な道路網計画、道路拡幅、公共交通の一体的な整備のほか、交通マナーに改善に注力していることは南京の特徴の一つと言える。2013年9月、南京市公共交通サービス業は率先して「横断歩道での譲り」を実施、その後、タクシーや公用車に広がった。現在(2016年10月)、実施率は平均的に89%に達した。ちなみに、南京市の行動目標は、2020年までにバスが96%、タクシーが80%以上である。ただし、タクシーの現状値はまだ46%程度でさらなる向上が必要である4。 また、南京の交通渋滞対策と公共交通サービス向上につながったのは「市場原理」であるとも言われている。2012年12月、南京市は全国の第1回目に認定された「公共交通サービスモデル都市」でもある。三年あまりの努力で、南京の公共交通サービスに大きな变化があった。今、南京市都市人口(市域人口)820万、全市公共交通日平均輸送客数550万人回、2012年に比較して、日平均が130万人回増加した5。南京市民の交通モードは近いところから遠いところへは、徒歩、共同利用(シェアリング)自転車、バス、鉄軌道交通の順となる。ほかに、特定グループのニーズに合わせて、「デマンドバス」、「ピーク時バス」、「時間指定バス」、「時間指定・場所指定バス」及びコミュニティバス等がある。南京公共交通(集团)有限公司によると、南京では、ナンバープレート制限等の行政強制手段ではなく、公共交通の能力拡大やサービス水準の改善、駐車場の料金アップ等の市場原理を導入して、「一キロ以内は徒歩、三キロ以内は自転車、五キロ以内はバス」を目指している。交通渋滞緩和と环境污染の低減を目標に、南京ではシェアリング自転車の普及に力を入れている。2016年10月現在、南京のステーション数が1,443箇所、投入した自転車は4.7万台、地下鉄駅、バス停、団地前にステーションを設け、市民の日平均利用は約16万人回で「ラストワンキロ」の交通手段を確保した。鉄軌道とその他交通手段とのシームレスな連結を目指すため、「南京市軌道交通駅乗り換えサービス施設計画基準」に従って、地下鉄駅出入口300 m以内に停車施設を、100 m以内にバス停を整備していく。南京の経験については、南京市城市与交通研究院は、渋滞緩和は階層のある公共交通サービスネットワークの計画のお蔭であると判断した4。 南京市の交通渋滞対策と公共交通サービス向上に寄与したのはもう一つ重要なことは公共交通利用者会議と都市公共交通委員会ができたことである。過去の数年間、南京の「公共交通サービスモデル都市」に関連して、第三者調査による南京公共交通満足度調査では、満足また基本的に満足の割合は95.2%超となった。このような結果に結び付いたのは公共交通利用者会議と都市公共交通委員会を抜きに実現できなかった。公共交通利用者会議の役割について、公共交通利用者会議副主任・事務局長は当該会議が市、サービス提供会社と 4 出典:中国交通運輸部「国土交通省に相当」政研室(2016.10.22)「世纪交通网」記事(中国語) 5 出典:南京市交通運輸局、http://www.njjt.gov.cn/34874/34875/34876/201609/t20160922_4188983.html(中国語)

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