多様なモビリティの共存による低炭素交通の実現~自動車CO2排出量算定の改善に関する研究~
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233.次世代自動車LCA評価の情報収集 3-1.自動車LCA評価の信頼性に関するヒアリング調査 一般社団法人産業環境管理協会はライフサイクルアセスメント(LCA)評価機関であり、自動車メーカー等が実施するLCA評価手法に対して、第三者認証を実施している。同協会の柴原主査にLCA手法、インベントリデータの最新動向についてヒアリングを行い、以下の知見を得た。 ・自動車メーカー各社が実施しているLCA手法の詳細は、自動車メーカーから公表されていない、もちろん、協会から公表することもできない。 ・協会の審査では、ISOに準じた手法となっていることを審査している。 ・自動車に投入している物量の把握については、設計段階から考慮されており、どの素材がどれだけ使用されているかは、かなり正確に把握されていると思われる。 ・ただし、素材・部品の製造に関する環境負荷原単位は、どのような値を用いているのかは不明。ISOでは原単位を決める適切な方法であることのみを規定している。 ・素材・部品の製造に関する環境負荷原単位も、近年は充実してきた。以前に比べ項目は格段に増えている。しかし、オープンに公開されている情報はほとんどない。国の研究機関である産業総合技術研究所(AIST)でも、原単位データベースであるIDEAを販売している。 ・現在は、自動車CO2のLCAにおいて、走行時の排出が多い。再生可能エネルギーの普及によって走行時のCO2排出量は必ず減る部分であるので、素材・部品製造でのCO2削減が注目されている。 ・さらに、協会では、CO2の次のターゲットとして、生物多様性に関する評価へ業務がシフトしている。 3-2.自動車メーカー資料から見える現状分析 自動車メーカーが公表している次世代自動車のLCA評価結果をもとに、走行時以外の廃棄時、素材・部品・自動車製造時のCO2排出について情報収集を行った。 (1)電気自動車 日産自動車が「NISSAN MOTOR CORPORATION SUSTAINABILITY REPORT 2016」14)で公表しているリーフ(電気自動車)のLCA評価結果を図 3-1に示す。 リーフは日本の同クラスのガソリン車と比べて、ライフサイクルにおけるCO2排出量を約40%削減できるとの結果が示されている。また、走行時に相当する「燃料製造・電力製

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