車両挙動を考慮した生活道路における高齢運転者への助言型ISA効果検証
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30 そして、速度規制低下点(番号:12413720451720444)の道路状況を図 4-8に示す。この場所において、ISA稼動前の超過率は1.000で、ISA稼動中の超過率は1.000で、超過率が横ばいであることから、助言型ISAの速度抑制効果がないことを確認できた。そこでの道路状況に関する詳細は以下のとおりである。この場所は住友ゴム工場名古屋工場周辺において、交差点の流入リンクは中央線がある道路区間で、流出リンクは中央線がない一方通行の道路区間である。なお、流出リンクは道路高架の入り口(緩やかな坂道)であるため、運転者が緩やかな坂道を上るためにも、スピードを出しやすい道路状況にあるように見受けられる。また、流出リンクでは歩道が整備されているし、道路両側には住宅地ではなく、工場がある工業用地で、そして道路区間の先にはカーブがある。対策方針としては、速度注意看板を設置するとともに、そこでの速度規制を40キロから30キロに引き下げることを通じて、運転者の走行速度を抑える必要があると考える。 Google衛星画像 Googleストリートビュー 図 4-8 速度規制低下点の12413720451720444の道路状況 4-4 小括 本章では、速度規制低下点において、助言型ISAが高齢運転者の速度遵守行動を促す効果検証を実施した。その結果としては、助言型ISAによる速度規制低下点における速度超過率の変化について、高齢者では5箇所のうち、4箇所が低下で、1箇所が上昇である。非高齢者の超過率では、4箇所のうち、2箇所が横ばいで、1箇所が上昇で、1箇所が低下である。この結果から、速度規制低下点における高齢運転者を対象とした助言型ISAによる速度抑制効果があるといえる。 一方で、本章では、分析対象となった速度規制低下点の数が少なく、成果の信頼性に課題があり、対象地域を広げるなどの研究が必要となる。

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