自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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92統計データ(⽇本帝国統計年鑑)86)により⾃動⾞が登場した当初からの⾃動⾞普及過程と他の交通⼿段に与えた影響を概観する。これを⾒ると、⾃動⾞の普及が加速度的に進んでいる状況が確認できる。⼀⽅で、乗⽤の⾺⾞や⼈⼒⾞は、1898年に初めて⽇本に⾃動⾞が持ち込まれ87)て以降減少し続けており、1937年には1920年⽐で18%に減少している。 なお、現在の道路交通法においても、道路を⾺⾞や⼈⼒⾞で通⾏することは認められている。届け出や許可を取る必要もない。⼀⽅、⾃動⾞には運転免許が必要になるなど新たな規制が逐次追加されている。直接的に規制や禁⽌されることなく、⾺⾞や⼈⼒⾞は道路交通からほぼ姿を消した。 道路交通法の整備などが⾺⾞や⼈⼒⾞の使⽤しやすさに何らかの影響を与えた可能性は、否定できない。しかし、過去におけるこうした変化は、新しい利便性の⾼い交通具の登場が既存の交通具のシェアを奪っていく過程を考える上での参考にできるだろう。 0%200%400%600%800%1000%1200%1901年1903年1905年1907年1909年1911年1913年1915年1917年1919年1921年1923年1925年1927年1929年1931年1933年1935年1937年乗用馬車乗用自動車人力車自動自転車普通自転車全人口1920年を100%とした比率 図Ⅱ-5-1 明治・⼤正・昭和初期における諸⾞台数の推移86) 86) ⽇本帝国統計年鑑:第31巻〜第58巻. 87) トヨタ⾃動⾞株式会社: ⾃動⾞誕⽣から今⽇までの⾃動⾞史(前編), Toyota Gazoo Racing HP, 2015.

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