自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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87(2)地⽅圏での公共交通の衰退に対する⾃動運転の期待 地⽅圏では不採算路線から公共交通事業者が撤退することを紹介したが、最近では⼈⼿不⾜が理由で撤退する事例もみられる。 不採算路線については、⾃動運転の導⼊により⼈件費の縮⼩効果が期待できる。図Ⅱ-4-8に⽰すように、タクシーや乗合バス事業における⼈件費の割合は50%を超えている。事業者としても⾃動運転導⼊のインセンティブになり得ると考えられる。 ただし、⾃動運転の導⼊にかかるコストが、⼈件費の圧縮額を上回るような場合も想定される。⾃動運転のタクシー事業への活⽤にかかる費⽤を調査した結果、2017年時点においては導⼊のハードルは⾼いという結果が得られている79)。価格の低廉化や、⾏政補助等による導⼊⽀援策、あるいはその両⽅が求められる。 ⼀⽅、先に述べたように⼈⼿不⾜の問題への対応の⾯では効果が期待できる。 ただし、コストの圧縮や⼈⼿不⾜の解消が実現して⾃動運転が導⼊されたとしても、需要が少なければ採算性の確保が困難になる可能性がある。⾃動運転サービスのあり⽅だけでなく、まちづくりも⼀体的に考える必要がある。 65%68%68%67%50%27%0%10%20%30%40%50%60%70%80%1‐50台51‐100台101台以上全国計全国計全国計大都市タクシー乗合バストラック経常費用中の人件費(運送)の割合 資料 (⼀社)⽇本⾃動⾞会議所:⾃動⾞運送事業経営指標 平成26年版 を基にTTRI作成 図Ⅱ-4-8 経常費⽤に占める⼈件費(運送)の割合

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