自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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643)⾃動運転おける損害賠償責任に関する検討 国⼟交通省は、⾃動運転における損害賠償責任に関する検討を⾏っている。⾃動運転システム利⽤中の事故においても⾃動⾞損害賠償保障法(⾃賠法)の制度を維持することの是⾮が最⼤の論点とされた。その結果について以下のようにまとめられている39)。 表Ⅱ-3-8 ⾃動運転における損害賠償責任に関する研究会の主な論点とポイント この他、「⾃動⾞の運⾏に関し注意を怠らなかったこと」(論点④)について⾃動運転システムのソフトウェアのアップデートや修理等の注意義務を追うと考えられることや、「地図情報等の外部データの誤謬や通信遮断等による事故」(論点⑤)について、「構造上の⽋陥⼜は機能の障害」があるとされる可能性があると整理している。 (4)その他の制度 官⺠ITS構想・ロードマップ2017に整理された検討項⽬は、⾞両、⾛⾏、事故を対象としたものに限られる。⼀⽅、⾃動運転⾞が⾛⾏するのは私たちが居住する都市や地域である。⾃動⾞は、その普及の過程で都市や地域の姿を⼤きく変えてきた。⾃動⾞が⾛⾏できるアスファルト舗装された⾞道を都市内に張り巡らせ、⼤量の駐⾞場を⽣み出し、公共交通サービスが⾏き届かない郊外にも住まいを構えることを可能とした。 こうした経験に鑑み、道路法や都市計画法、道路運送法等は、⾃動運転の普及に合わせて随時⾒直していくことが重要である。 また、⾃動運転の普及により多種多様な形式の⾞両が提案される可能性がある。現在の超⼩型モビリティは原則⼀⼈乗りであり、特例で⼆⼈乗りが認められる状況にある。⾃動運転の導⼊を⾒越した保安基準の⾒直しの検討が進められているが、道路運送⾞両法等も⾒直すことで、利便性の⾼い乗り物が提供されることが望ましい。 39) 国⼟交通省⾃動⾞局: ⾃動運転における損害賠償責任に関する研究会 報告書, 2018.

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