自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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61そこで、条約の条⽂解釈で⾃動運転を認める⽅向で議論が進められている。こうした議論が進められることで、現⾏の道路交通条約のもとでも、遠隔操作による公道実証実験が可能であることが確認された33)。しかし、条⽂が完全な無⼈の⾃動運転を追認すると解釈するためには、相当の時間がかかると⾒込まれる34)。 ⼀⽅、ウィーン条約は2016年に⾃動運転を認めている(即座に運転を引き受けられる状態)。これを受け、独はLv3を認めるよう道路交通法を改正している。加盟する条約の違いが無⼈⾛⾏の実現の可否に制約を加え、国内法の議論の遅れ、社会実装の遅れを招き、技術⾰新のスピードにも影響を及ぼす可能性がある。 なお、警察庁は2016年に「⾃動⾛⾏システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」を策定したのに引き続き、2017年に「遠隔型⾃動運転システムの公道実証実験に係る道路使⽤許可の申請対する取扱いの基準」35)を策定した。後者の基準に適合することで、運転席に運転者がいない遠隔監視型の⾃動運転の実証を⾏うことができる。 2)⾃動⾞の⾛⾏に係るルール 運転者の取扱い以外にも、⾃動運転の際に無視できない問題がある。運転者は、道路交通法を遵守しつつも、交通の流れに乗るため、あるいは交通事故を防ぐために、あえて道路交通法より交通状況に沿った⾏動を取ることを優先する場合がある。 ⼀⽅⾃動運転⾞の場合、メーカーは道路交通法違反をするような製品を開発することはできない。そのため、⾃動運転の実現のためには、「交通の実情にてらした時に合理性に疑問がある規定」については、「道路交通法を交通の実情にあわせる」ことが必須となる。 こうした例としては、規制速度を上回る実勢速度の問題や、渋滞する⾼速道路のIC付近での路肩⾛⾏(路肩⾛⾏は例外なく禁⽌されている)等が挙げられる。 中川36)は、これらの問題に関連する条⽂はジュネーブ条約には⾒当たらないので、国内法の⾒直しのみで対応可能であり、道路交通法において改正が必要となる規定について検討している。 さらに、改正の際には、運転者の意識を変えていくことも必要であることと指摘している。すなわち、速度規制を実勢速度に合わせて上げた際に、これまでのように「多少の速度超過は当たり前」という意識では、⾼速度⾛⾏による交通事故が多発しかねない。ルールとともに、交通参加者の意識も変える必要がある。 33) ⽇本経済新聞記事(2018.03.16): ⾃動運転、国際ルールづくりに難航 新産業に冷⽔, 2018. 34) 中川由賀: ⾃動運転導⼊後の交通事故の法的責任の変容〜刑事責任と⺠事責任のあり⽅の違い〜, 中京Lawyer, Vol.25, 2016. 35) 警察庁: 「遠隔型⾃動運転システムの公道実証実験に係る道路使⽤許可の申請に対する取扱いの基準」の策定について(通達), 2017. 36) 中川由賀: ⾃動運転⾞の実⽤化のための課題〜道路交通法規を交通の実情に合わせる〜, ⾃動運転と法律の資料室HP(2018.3.23), 2018.

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