自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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60(1)安全基準等 国⼟交通省では国⼟交通省⾃動運転戦略本部31)における検討の中で、安全基準に関連して、Lv3以上の⾃動運転⾞両の安全性に関する要件等の検討、⾃動運転技術に対応する⾃動⾞整備・検査の⾼度化等が検討されている。 その中では、Lv3以上の⾃動運転を実現するためには安全基準や交通ルール等の多岐にわたる交通関連法規の⾒直しが必要と認識されている。Lv3以上の⾃動運転システムを有する⾞両が満たすべき要件や安全確保のための各種⽅策について整理し、2018年夏頃を⽬途にガイドラインとして取りまとめて公表される予定である。 また、⾃動運転技術に対応する⾃動⾞整備・検査の⾼度化については、誤作動による重⼤事故に繋がる恐れがある認識のもと、①⾃動⾞メーカーが定める整備要領書の提供、②電⼦制御の状況を読み取る汎⽤のスキャンツールの開発、③⾃動⾞整備⼠の研修・育成を推進するとともに、⾃動運転技術に対応した新たな検査⼿法を検討し、2018年夏前を⽬途に中間とりまとめが⾏われる予定である。 (2)交通ルール等 1)無⼈⾛⾏の可否 先述のように、現在の条約や法律の解釈では、⾃動運転⾞による無⼈での⾛⾏は認められていない。これを実現するためには、条約を改正し、道路交通法を改める必要がある。 ⽇本は道路交通条約に位置づけられるジュネーブ条約に批准している。この条約の批准国は100ヶ国あり、条約の改正には3分の2以上の賛成が必要である。しかし、批准国の中にはそもそも⾃動運転の普及に関⼼のある国はわずかで、会議にすら出ない国も多い。そうした中で、条約を改正することは容易ではない状況にある。 図Ⅱ-3-14 道路交通に関する国際的合意32) 31) 国⼟交通省: 第4回 国⼟交通省⾃動運転戦略本部 資料3, 2018. 32) 中川由賀: ⾃動運転に関する国際的合意及び会議体の整理, ⾃動運転と法律の資料室HP, 2018.

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