自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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301.本研究の概要 1-1.研究の背景 現在の社会は様々な問題を抱えている。都市交通に関係するものに限定しても、進展する⾼齢化、それに伴い増加する⾼齢者の交通事故、拡⼤する低密度市街地、交通不便地域のモビリティ確保など、枚挙に暇がない。そして、都市交通において重要な役割を担っている⾃動⾞についていえば、産業⾯からの国際競争⼒の維持・増進や、社会イノベーションの誘発・促進が課題となっている。 こうした問題や課題に対するソリューションのひとつとして、⾃動運転の実現が期待されている。例えば政府に関係する計画等についてみると、2013年にまとめられた運転⽀援システム⾼度化計画(2013)1)では、⾃動運転の効果として次の5点、すなわち、①渋滞の解消・緩和、②交通事故の削減、③環境負荷の低減、④⾼齢者等の移動⽀援、⑤運転の快適性の向上、が⽰されている。また、内閣府が中⼼となって進めているSIP-adus(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program Automated Driving for Universal Service :戦略的イノベーション創造プログラム ⾃動⾛⾏システム)2)では、「安全」を第⼀義において研究開発が進められている。さらに、第10次交通安全基本計画(2016)3)では、基本理念に先端技術を積極的に取り⼊れることを明記されている。そして、最新の官⺠ITS推進構想・ロードマップ(2017)4)では、⾃動運転システムによる社会的期待の例として、より安全かつ円滑な道路交通社会や、より多くの⼈が快適に移動できる社会、さらには産業競争⼒の向上や関連産業の効率化などを指摘している。 このように、⾃動運転は様々な⾯で期待されている。 1) 運転⽀援システム⾼度化計画策定関係省庁連絡会議(警察庁、総務省、経済産業省、国⼟交通省、内閣官房):運転⽀援システム⾼度化計画,2013.10. 2) 内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当):戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)⾃動⾛⾏システム研究開発計画、2016.10. 3) 中央交通安全対策会議:第10次交通安全基本計画 交通事故のない社会を⽬指して:2016.3. 4) ⾼度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官⺠データ活⽤推進戦略会議:官⺠ITS構想・ロードマップ2017、2017.5.

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