自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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16(5)⾏政による計画的な導⼊ ⾃動運転が普及途中の段階から、1.で描いた⾏政の役割は重要な位置を占める。むしろ、この段階において⾃動運転の導⼊の姿を適切に⽅向づけることが、その後の普及がスムーズに進むかどうかを左右するため、より重要な役割を持つ。 ⾃動運転の導⼊により⽣じる様々な事象に適切に対応し、それらを踏まえてその後の社会の姿を⾒通し、より望ましい⽅向へと導く計画を⽴てることが求められる。 2-2.交通の姿 2-2-1.移動サービス (1)限定地域での⾃動運転移動サービスが導⼊される 中⼭間地等において住⺠の移動⼿段確保のために⾃動運転が必要となる地域において、地域内の⾃動運転移動サービスが導⼊されている。これらの地域には、⾃動運転の実証実験段階から導⼊の検討が⾏われていた地域も含まれる。 こうしたサービスにより、買物や通院、地域の集会等への移動が可能となる。 この段階においては、これらのサービスの多くは⾏政の補助により運⾏が⽀えられている。持続可能なサービスのあり⽅についての議論も進められている。 SAVは、防犯⾯や安全⾯、⼈々の嗜好を考慮し、性別や年齢によって利⽤者に条件を設けるサービス(例えば未就学児は保護者と同乗など)も提供される。 (2)⾼速道路や幹線道路ネットワーク上での⾃動運転移動サービスが導⼊される ⾃動運転に必要となる様々なインフラ等が優先的に整備された⾼速道路や幹線道路を経由する、主に都市間の⾃動運転による移動サービスが導⼊される。⾼速道路インターチェンジ(IC)等で、端末交通と幹線交通の乗換が⾏われる。 こうしたサービスは、鉄道が輸送を担うには交通需要が⼩さいような領域で導⼊される。 このサービスの具体的な姿は、次章で詳述する。 (3)MaaSが段階的に導⼊される 上述の(1)や(2)のサービスを実現するために、配⾞アプリや運⾏予約アプリが提供される。端末交通と幹線交通のシームレスな乗換のためのダイヤの連携や、予約・決済サービスなどが提供される。 あるいは、住宅団地等の移動需要が⼀定程度⾒込まれる地域では、⼀定期間の配⾞や運⾏実績を基に、配⾞予約等をしなくてもAIが需要を先読みして⾃動的に配⾞されるようなサービスも提供される。 2-2-2.⾃家⽤⾃動運転⾞ (1)⼀部の富裕層によるマイカーでの⾃動運転⾞が利⽤される この段階では⾃動運転⾞の価格や維持管理コストが⼗分に安価ではなく、マイカーの⾃

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