自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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8(2)MaaSが浸透 MaaS(Mobility as a Service)xii)により、異なる交通⼿段間の予約や決済の連携、ならびにサービス連携、そして混雑課⾦等(後述)の政策との連携が⾏われている。 MaaSにより、⾃動運転⾞と鉄道等の他の⼿段の乗り換え抵抗の最⼩化が図られる。それにはいくつかの⽅法が考えられるが、鉄道のダイヤは変えられないとした場合、例えば、①MaaSが出発時間の調整(遅らせるまたは早める)を提案する、②MaaSが商業施設等への寄り道を提案する、③渋滞を起こさない程度に⾛⾏速度を調整するなどが考えられる。 また、MaaSにより収集した様々な移動データの商品化や、MaaSを通じて広告(レコメンド情報)等を提供することにより収益が得られる。こうした費⽤は、都市交通全体の最適化に活⽤される(後述)。 さらに、移動だけでなく多⾯的なサービス(⼩売り、飲⾷、エンタメ、医療、仮眠・宿泊など)との連携も図られる。 (3)需要や供給の偏りの是正⽅策が導⼊ ⾃動運転は、社会的なメリットだけでなく、運転負荷からの解放や移動時間の有効活⽤など個⼈的なメリットももたらす。個⼈的メリットは、利⼰的な⾏動への傾斜を喚起することにより、外部不経済をもたらす恐れがあるxiii)。 例えば、需要が集中する都市部で供給が過剰になれば交通事故や渋滞等の様々な問題を引き起こしかねない。また、需要が疎な地⽅部では採算が取れない場合に供給が⾏われない可能性もある。そうなれば、⾃動運転の社会的メリットを⼤きく損ないかねない。 需要の集中道路の混雑事故発⽣の懸念⾮効率な空間利⽤価格の⾼騰需要過多による供給不⾜供給の偏り価格の⾼騰供給過⼩による供給不⾜移動⼿段提供効果の低減都市の魅⼒低下地域の魅⼒低下⾮効率なエネルギー消費都市部地⽅部利便性の低下利便性の低下 図Ⅰ-1-3 需要や供給の偏りによる問題のイメージ そこで、需要の集中の問題を緩和する、①より輸送密度の⼤きな⾞両への乗換促進やより⾼効率な⾛⾏を実現する隊列⾛⾏、②そのためのインセンティブや乗換抵抗のゼロナイズ、③ダイナミックプライシング(混雑課⾦)、④迂回経路利⽤時の割引等の施策、が市⺠ xii 第Ⅱ編3-4.(1)参照、TaaS(Transportation as a Service)という場合もある xiii 第Ⅱ編2-2-5、4-1-2.(2)参照
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