自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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1046.⾃動運転導⼊時の運⽤の想定 6-1.現在の⾃動運転の実⽤化状況 (1)建設分野 コマツの事例106) 劣悪な労働環境である鉱⼭のダンプトラック運転⼿不⾜に対応するため、2008年に無⼈ダンプトラックを発表した。DARPAプロジェクトで開発された技術や技術者を取り込んで実⽤化させた。実⽤にあたっては有⼈⾞両のオペレータを安⼼させるために、有⼈⾞両との距離に応じて無⼈⾞両を減速させる機能や、無⼈⾞両を強制的に停⽌できるボタンを取り付けた。「⾃分が無⼈⾞両の運⾏を管理・制御している」という実感を持つことが重要と認識されている。実⽤の中で経験を積み重ねて安全を⾼めてきた。無⼈化だけでなく⾃動化(⼈の施⼯精度を上回る機械施⼯を実現)も⾏われている。 (2)物流分野 ⽇産⾃動⾞の事例107) 将来の⽇本における労働⼈⼝減少対策のひとつとして検討を着⼿進めてきた。⾃動運転機能を備えた「リーフ」ベースの牽引⾞と台⾞で構成され、⼀度に最⼤3台の完成⾞を無⼈で搬送することが可能なシステム。磁気テープやレールなどのインフラが不要なため、⽣産⼯程や物流導線の変更に柔軟に対応可能。牽引⾞には複数のカメラとレーザースキャナーを搭載しており、制限速度で⾃動⾛⾏する。管制センターで運⾏を監視している。 (3)農業分野 クボタの事例108) 熟練の技術者を含む農業の担い⼿や減少に対応するために⾃動運転農機の開発に着⼿した。GPS情報により⾃動運転可能(ただし現場で⼈が監視)なトラクタ・⽥植え機・コンバインなどを開発した。⾛⾏や決められた範囲を耕すなどの農作業は全て⾃動で⾏われる。センサーも活⽤し、⼈や障害物を検知して⾃動で停⽌する。また、狭い圃場を効率よく利⽤するには無駄なスペースを作らず、かつ植えた作物を踏まないよう⾼い運転精度が必要であり、誤差は数cmの範囲に収まる。 (4)インフラ維持管理分野 NEXCO東⽇本の事例109) 2018年1⽉より北海道で試⾏される予定。操作にたけた熟練オペレータの⾼齢化や労働 106) ⽇本経済新聞2017年10⽉5⽇: 「コマツ、建機のIT化から⾒える⾃動運転の未来」, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21254350Z10C17A9000000/?df=2, 2017. 107) ⽇産⾃動⾞ニュースルーム2016年12⽉5⽇: 「⽇産⾃動⾞、⾃動運転技術を活⽤した完成⾞の無⼈搬送システム 「Intelligent Vehicle Towing(インテリジェント ビークル トーイング)」を追浜⼯場に導⼊」, https://newsroom.nissan-global.com/releases/161205-01-j?lang=ja-JP, 2016. 108) KUBOTA PRESS 2017年4⽉27⽇: 「クボタの「農機⾃動運転」はここまで来た! 農業の未来を担う、その実⼒とは」, https://www.kbt-press.com/news/autonomous-farm-machinery, 2017. 109) ⽇経コンストラクション2017年11⽉6⽇: 「除雪⾞の⾃動運転、東⽇本⾼速が北海道で試⾏」, https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23133120W7A101C1000000/, 2017.

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