自動運転普及がもたらす都市交通への影響研究
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1025-4.本ビジョンにおける普及の想定 以上を踏まえて、本研究における⾃動運転の普及の想定は次のように考える。 ⾃動運転の普及は、公共交通(共同利⽤や乗合利⽤、個別輸送などの営業⽤⾞:タクシー・バス・レンタカー・カーシェアなど)から進む。私的交通(⾃家⽤乗⽤⾞)での利⽤は、当⾯は⾼速道路に限定され、普及は富裕層に限定される。 ⾃動運転の導⼊は、過疎地、⾼速道路、特別な規制を敷いた地区などの、限定地域から始まる。初期の限定地域での実⽤を通じて、安全性、利便性、効率性などの検証が進み、徐々に限定地域が拡がっていく。 この段階においては、交通量が多い都市部においては定路線型の⾃動運転移動サービスが始まる。交通量が少なく⾃動運転の難易度が⽐較的低い地域においては、デマンド型(⾛⾏経路や時刻表に縛られない)の⾃動運転移動サービス(⾃律型・協調型)も⾏われる。 ⾃動運転⾞の販売価格の下落に伴い、私的交通(⾃家⽤乗⽤⾞)への普及速度が⾼まる。 ⼀般⾞と⾃動運転⾞が混在する状態は、数⼗年間続くと想定する。その過程で、徐々に⾃動運転に対応した道路や都市空間への改編が進み、⾃動運転対応型社会への転換が進む。 最終的に、⾺⾞や⼈⼒⾞などが内燃機関の⾃動⾞に置き換わったように、⼀般⾞が⾃動運転⾞に置き換わる。 なお、Lv2やLv3の運転⽀援技術も⼀時的に普及すると想定され、交通事故の削減や⼈⼿不⾜の解消に貢献することが期待される。中期以降ではLv4以上の⾃動運転の普及拡⼤に伴い、Lv3やLv4の⾃動運転の割合は縮⼩していくと想定する。 表 Ⅱ-5-3 ⾃動運転普及の2つの流れ ⾃動運転の種類等短期的な普及の⾒通し(2020年代前半)中期以降の普及の⾒通し対象地域⾛⾏速度備考Lv2・Lv3⾃動運転(運転⽀援)制限なし法定速度左記の領域での運転⽀援や⾃動運転の経験を蓄積し、課題の解決や安全性等の検証が進むLv4以上の⾃動運転の普及に伴い、Lv2やLv3の割合は縮⼩していくLv4以上営業⽤・公共交通限定地域(郊外部・中⼭間地)低速(⾮常時に安全が確保できる速度)対象地域の拡⼤(地域数の増加、地域⾯積の拡⼤)が図られるLv4以上⾃家⽤・私的交通限定路線(⾼速道路)法定速度対象となる路線延⻑が延伸されて⼀般道路でも⾃動⾞専⽤道等にまで対象路線が拡⼤される⾃動運転普及の2つの流れ

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