高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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5 から98年の72.1%、そして2004年には87.9%になった(注:自動車工業会資料)。ADASに寄せられる期待も大きいものと推察されるが、高齢者運転者の増大が予想される社会情勢の中で、どのようにその機能を普及させていくことが高齢者の安全な移動を支える上で効果的であるかについて知見を積み上げる社会的意義は高いと考える。 1-2.目的と内容 本研究は、上記の問題意識に関連する一連の調査分析を行うことを目的とする。内容は、以下のとおりである。 1.高齢運転者の特性分析 高齢運転者の交通事故発生傾向とともに、運転適性結果、視力検査結果及び運転行動診断結果を基に高齢者に潜在する事故リスクについて明示する。 2.既存のADASの効果検証 ITARDAで提供される事故車両データ情報を活用し、ADASの装着の有無による年齢、事故類型、発生箇所等での交通事故の発生傾向を分析する。 3.ADAS機能のバラツキの分析 各メーカー・車種のADASの性能について、自動車事故対策機構が公表する「予防安全性能アセスメント」の結果を参照しながら機能のバラツキ等を分析する。 4.ADASの高齢運転者の受容性評価 ADASの高齢運転者の受容性とそれを普及させるための条件等を分析する。高齢運転者による実走行実験による評価の可能性を検討しつつ、補償運転行動の変化を含めたADASの運転への多様な影響を把握する。 5.ADASの可能性と限界に関する分析 上述の分析結果を基に、既存のADASが高齢運転者の認知・身体機能の低下のどの部分を補完しうるかを整理することで交通事故リスクを減少させる可能性を評価するとともに、既存のADASで補完できないと想定される限界を整理する。 6.ADAS導入促進策の提案 これまでの調査分析を基に、導入促進すべきADASの機能や条件、普及促進させるための社会的制度・仕組みをまとめる。

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