高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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78 7.ADAS導入促進策の提案 これまでの調査分析を基に、導入促進すべきADASの機能や条件、普及促進させるための社会的制度・仕組みをまとめる。 7-1.導入促進すべきADAS機能 表7-1は、表6-1で整理した高齢運転者の事故リスクの既存ADASによる補完可能性に対して、その補完状況を踏まえて導入促進すべきADAS機能を整理したものである。例えば、既存ADASで直接的な補完ができない信号交差点右左折信号見落とし、無信号交差点一時停止標識見落としといった事故リスクに対しては、それぞれの情報提供を行うような機能の導入促進が望ましいと考える。このような機能は、既に一部の道路空間において路車間協調による安全運転支援システム(DSSS)により導入されている例もある。導入コストの課題も想定されるものの、DSSSのさらなる推進は、高齢運転者が増大するこれからの我が国における安全・安心な運転環境の実現に向けて重要な要素となるものと考える。また、行動予測ハザード知覚の低下、潜在的ハザード知覚の低下といった事故リスクに対しては、周辺状況から予想される危険事象を予測・情報提供できる機能の構築・導入促進が考えられるだろう。また、無信号交差点での不適切な安全確認・二段階停止といった事故リスクに対しては、当該状況下での安全な確認や走行をアシストするような機能の導入促進が考えられる。 このようなADAS機能について導入促進を検討することで、高齢運転者特有の交通事故リスクを低下させ、事故削減に効果的に作用していくものと考える。

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