高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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49 5.ADASの高齢運転者の受容性評価 5-1.はじめに 十分な精度をもつADASの普及は高齢運転者の交通事故削減において極めて効果的であることがわかった。では、このような効果が期待できるADASについて、どのように普及を進めていくことが望ましいのであろうか。ここではADASの高齢運転者の受容性とそれを普及させるための条件等を調査する。高齢運転者による実走行実験による評価の可能性を検討しつつ、補償運転行動の変化を含めたADASの運転への多様な影響を把握する。 本章では、以下の内容で分析を進める。 ADASの搭載に関する受容性の把握 高齢運転者のADASの認知・搭載状況、非搭載者における搭載意向とともに、搭載による安心感について把握する。 実走行実験によるADAS受容性評価の可能性検討 ADASの受容性について、高齢運転者を対象とする実走行実験を通じてADASの受容性を評価することの可能性を検討する。 ADASの作動条件に関する認識構造の把握 ADASがどのような条件で作動するかの条件に関して、ADAS搭載車両を保有する運転者がどの程度認識しており、その認識が自身のADAS車両の運転にどのような影響を及ぼしているかについて把握する。 5-2.ADASの搭載に関する受容性の把握 5-2-1.方法 ここでは、2015年に実施した「ADASや自動運転に関するアンケート調査」1)における収集データを一部活用し分析を行う。本データは、WEB調査会社の楽天リサーチを通じて収集している。当該サービス登録者の母集団の特性を図5-1に示す。本母集団は、楽天の各サービス(楽天カード、楽天証券、楽天infoseek、楽天市場、楽天GORAなど)を利用している方で構成されている。WEBサービス利用者であるという前提があるため、若年層、高齢層の構成割合が低いという特徴を有している。 本調査では、ADAS搭載車保有者を極力多く集めることを目指し、対象地域を全国としている。ただし、他の分析で地域間比較を検討していたため、母集団の比率に従うのでは

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