高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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47 4-4.まとめ ADASの性能について、予防安全性能アセスメントの結果をメーカー別、車種別、装備方法別、被害軽減ブレーキ(対車両)については検出装置別で整理することで俯瞰した。被害軽減ブレーキはメーカ間で性能に比較的差が生じているが、車線はみ出し警報、後方視界情報はメーカ間での差は小さいこと、普通車標準>普通車オプション>軽自動車標準>軽自動車オプションの順で性能が低下すること、カメラ(C)+ミリ波レーダ(MR)の評価点が最も高く、レーザーレーダー(LR)単独の評価点が最も低いことがわかった。被害軽減ブレーキ(対車両)における検出装置はメーカ間で様々であるが、軽自動車の多くは評価点の低いLRを採用していた。これは、少なくとも近年市場に投入されている軽自動車のADASの性能は総じて低い可能性が高いことを示唆するものである。 では、高齢者はどのような自動車を選択しているのだろうか。図4-6に示す日本自動車工業会の調査結果5)によれば、高齢になるに従い、軽自動車1台のみを保有する家庭が多くなることが示されている。すなわち、高齢になるに従い、「軽自動車」を「主な移動の手段」として採用する傾向が強くなることがわかる。表4-4に示すように、同調査ではこの理由についても整理しており、「税金が安い」、「燃費が良い」、「保険が安い」といった点が挙げられている。 運転機会が低下することに加え、収入が減少する高齢者世帯においては、自動車保有に関するコスト面の影響は大きいことは想像に難くない。先にみたように、ADASの普及は高齢者が第一当事者となるような事故を劇的に減少させる効果が期待できるものの、それはある程度性能の高いADASが適切に普及していく過程で確認できたものである。本章で整理したNASVAの検証によれば高齢者の生活背景から選択されやすい軽自動車に搭載されるADAS性能は、決して高くない場合も予想され、期待される効果が十分に発揮されない可能性がある。保有する車両に関するこのような情報について、正しく理解しておくことは極めて重要であるだろう。

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