高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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42 4.ADAS機能のバラツキの分析 4-1.はじめに 前章の分析の結果は、ADASの普及による交通事故抑止が極めて期待できることを意味しているように見える。他方、この検証はあくまでスバル車に搭載される「アイサイト」を例にした普及効果を検証した結果にすぎない。では、各メーカー車で搭載されるADASそれぞれの性能はどのようなものなのであろうか。 ここでは、各メーカー車に搭載されるADASの性能について詳細な検証結果を公表している予防安全性能アセスメントを参照しながら、現在販売されているADAS機能のバラツキについて分析する。 4-2.方法 予防性能アセスメント1)は、国土交通省と(独)自動車事故対策機構(NASVA)が、衝突が避けられない場合に自動でブレーキをかける技術など自動車の先進安全技術について評価を実施しているもので、利用者に対する自動車選定に際しての有益な情報提供を行うことを目的としている。対象車種は、自動車アセスメント評価検討会3)にて毎年3月末時点又は9月末時点に、市場において新車として販売されているものの中から、それぞれの時点の直近1年間の販売実績等を勘案して選定されている4)。ただし、自動車製作者等から評価の申出があった自動車についても選定できるとされている。試験車はユーザーが実際に購入するように自動車販売店で展示車や在庫車を購入する。 「予防安全性能評価パンフレット2017年版」によれば、予防安全性能アセスメントの評価指標は、図4-1に示すように被害軽減ブレーキ、はみ出し警報、後方視界情報の3種類となっている。うち、被害軽減ブレーキは対車両、対歩行者の2視点から実施されている。評価はそれぞれ図4-2~4-5に示すように実施され、性能に応じた得点がそれぞれ与えられる。 表4-1は、2014年~2016年度に評価対象となった試験車両の一覧である。全86台でうち25台が軽自動車である。本研究では、これら86台の車両について、メーカー別、車種別、検知装置別等の視点からADASの性能を整理することで、ADAS性能のバラツキについて俯瞰する。

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