高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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21 表 2-11 老化及び運転への不安に影響する要因の関係性 2-4-3.まとめ 高齢運転者に対して実施された高齢者講習により得られた運転特性のデータを活用し、老化及び過剰な自信と運転特性の関係性について分析を行った。老化と運転特性の関係性を分析することにより、視力等の心身機能の低下とともに、一時停止のある交差点での二段階停止、安全確認に課題が生じるようになることがわかった。また、高齢運転者の過剰な自信を代替する指標として運転への不安に着目し、運転特性との関係性を分析することで、特に一時停止のある交差点における二段階停止、視野の縮小は、老化により問題が生じるようになるにもかかわらず、運転への不安にはつながらない、いわゆる「過剰な自信」を表象する要因となっていることがわかった。 老化による一般的な心身機能の低下のみならず、特に一時停止のある交差点での安全な通行における課題が深刻化していくという点は、高齢者にとって安全な交通環境を形成していく上で、重要な着眼点となりうるものである。なお、本成果で構築したモデルはいずれも精度的には十分なものとはいえず、より説明力の高い指標を選定するなど、改良を進めることが、より老化及び過剰な自信と運転特性の関係性を明確化する上で重要であると考える。 参考文献 1)松浦常夫(2017)「高齢ドライバーの安全心理学」東京大学出版会 2)豊田都市交通研究所(2017)「高齢者モビリティの選択要因と支援方策に関する研究 報告書」,研究調査報告2016-⑨ 老化に有意に影響する特性うち運転への不安において有意影響する特性二段階停止安全確認○視力(両眼)○水平視野物忘れ自覚○糖尿病(現在)入院経験個人属性運転頻度視力運転行動心身機能

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