高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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13 りやすいこと、そして、そもそも事故に巻き込まれる数が少ないのは、移動に費やす時間や距離が少ないからであるということがわかる。 その他の傾向として、高齢になるに従い、事故を起こした際に自身が死亡してしまう割合が高まること、追突以外の事故の割合が増えること、一時不停止が増えること、アクセル/ブレーキの踏み違いが極端に増えていくことなどが読み取れる。 表 2-5 年齢別交通事故傾向の変化 ※中年を基準としたときの比。基準値より上回る場合は赤色、下回る場合は青色で表現し、基準値から離れるほど色を濃く表現している ※関与する事故:当事者のいずれかに当該年代が関与している事故 2-3-3.まとめ 移動に費やす時間を少なくしているといった高齢運転者の特性は、自身の能力低下を踏まえた一つの補償行動と捉えることもできる。図2-1は速度抑制や避難運転など5種類の補償運転の年齢変化について報告している文献からの引用であるが、いずれも65歳以上から補償運転を実施しているという得点が上昇し、特に雨天時や夜間といった危険が伴うよ若年中年前期高齢後期高齢超高齢20歳代30~64歳65~74歳75~89歳90歳以上死亡者1.41.03.34.3-負傷者1.41.00.40.4-死亡事故件数2.01.01.62.6-事故件数2.51.01.31.5-死亡者1.01.07.514.5-負傷者1.11.01.01.1-死亡事故件数1.71.03.88.5-事故件数2.01.02.64.2--1.01.02.13.8Dellinger, A. M., Langlois, J. A., & Guohua, Li (2002) Fatal crashesamong older drivers: Decomposition of rates into contributingfactors. American Journal of Epidemiology, 155(3), 234-241超高齢は85歳以上自分が死亡-1.01.8--相手が死亡-1.01.0--人対車両-1.01.2--追突-1.00.6--出会い頭-1.01.3--その他車両相互-1.01.2--車両単独-1.01.7--一時不停止1.11.01.21.3-安全不確認0.91.00.90.9-昼点灯1.01.00.80.6-夜消灯1.01.01.11.4-ハンドル操作不適-1.00.60.6-アクセル/ブレーキ踏み違い-1.05.39.0-出会い頭時の違反国際交通安全学会(2011)アクセルとブレーキの踏み違えエラーの原因分析と心理学的・工学的対策の提案,平成22年度研究調査報告書・松浦常夫(2017)「高齢ドライバーの安全心理学」東京大学出版会・交通事故総合分析センター(2015)交通事故集計ツール(2014年中の事故)備考・若年は16~24歳・後期高齢は90歳以上含む高齢ドライバを前期高齢、非高齢ドライバを中年としている・後期高齢は90歳以上含む・65歳未満を中年としている・後期高齢は90歳以上含む・40歳代を中年としている・後期高齢は90歳以上含む・40歳代を中年としている出会い頭時のライト点灯運転者事故要因「操作上の誤り」出典項目内容・松浦常夫(2017)「高齢ドライバーの安全心理学」東京大学出版会・交通事故総合分析センター(2016)交通事故統計表データ(27-13BG102, 27-13BG108)・松浦常夫(2017)「高齢ドライバーの安全心理学」東京大学出版会・交通事故総合分析センター(2015)交通事故集計ツール(2014年中の事故)事故類型人口:総務省統計局「平成27年国勢調査人口等基本集計」、交通事故死者・負傷者数:警察庁「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況について」、「平成27年における交通事故の発生状況」免許保有者数:警察庁「運転免許統計 平成27年度版」、交通死亡事故件数・交通事故件数:警察庁「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況について」、「平成27年における交通事故の発生状況」、移動に費やす時間:総務省統計局「平成23年社会生活基本調査」人口:総務省統計局「平成27年国勢調査人口等基本集計」、交通事故死者・負傷者数:警察庁「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況について」、「平成27年における交通事故の発生状況」、移動に費やす時間:総務省統計局「平成23年社会生活基本調査」免許保有者数:警察庁「運転免許統計 平成27年度版」、交通死亡事故件数・交通事故件数:警察庁「平成27年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況について」、「平成27年における交通事故の発生状況」・松浦常夫(2017)「高齢ドライバーの安全心理学」東京大学出版会・交通事故総合分析センター(2016)交通事故統計表データ(27-40FZ101, 27-42NG201)関与する事故(人口当たり)第一当事者となる事故(免許保有者当たり)関与する事故(人口・移動時間当たり)第一当事者となる事故(免許保有者・移動時間当たり)高齢/非高齢運転者の死亡事故件数走行距離あたりの事故件数
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