高齢運転者の増加を考慮した安全・安心なモビリティ実現を目指した研究
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8 2-2-1.方法 老化による心身機能の低下については、様々な研究データが公表されていることから、ここではそれら文献等に記載されるデータを要約することで、俯瞰的に高齢者の心身機能の傾向を捉えることを試みる。方法としては、特に年齢別の心身機能の変化を捉えた文献を参照し、若年(20歳代)、中年(30~64歳)、前期高齢(65~74歳)、後期高齢(75~89歳)、超高齢(90歳以上)の5分類による傾向を表2-1のように一覧表にまとめる。ここで、各表に示される値は、特に断らない限り中年を基準(1.0)とした場合の比とする。これによって、様々な指標間での俯瞰的な傾向比較が可能となる。 なお、ここでは、参照する文献において扱っている属性の母集団までは言及できていない。あくまで同一調査(環境下)と想定されうる状況における年齢別の比較であり、値の代表性において課題はある点は留意しておく必要がある。 表 2-1 老化による心身機能低下に関する整理方法 2-2-2.結果 (1)老化による身体機能の変化 表2-2に老化による身体機能の変化について示す。老化によって、特に聴力(反応時間含む)と運動能力(特に柔軟性・平衡性・瞬発力)の低下が著しいことがわかる。また、視力では、中でも視野(特にランダム背景下の輝度変調の検出)や減能グレア(眩しさ耐性)が老化によって大きく低下することがわかる。 他方で、上述の聴力、運動能力の低下に比べて反応時間の変化はやや緩やかである。ただし、反応時間の長さよりもその分散、単純反応よりも弁別反応(既知の複数の刺激のいずれかが提示され、そのうち特定の刺激の場合のみ、決められた1種の反応をするときの反応)、視覚・触覚よりも聴覚における反応において、老化の影響がより大きい。極めて速い速度で連続的に変化する運転環境下においては、安定的に的確に反応できる能力は不可欠であり、老化によるこの変化は安全上、深刻な課題を生じさせる可能性がある。 若年中年前期高齢後期高齢超高齢20歳代30~64歳65~74歳75~89歳90歳以上周波数低い(0.125kHz)5.01.00.30.2-周波数中(1kHz)7.01.00.30.2-周波数高(8kHz)11.51.00.40.3-内容項目聴力項目ごとに値を整理中年を基準値(1)とし、基準値より上回る場合は赤色、下回る場合は青色で表現基準値から離れるほど色を濃く表示
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