交通事故数予測モデルを踏まえた愛知県「三位一体」対策の提言
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1-11.はじめに 1-1.業務の目的 愛知県では、交通死亡事故者数が14年連続ワーストワンを記録している。その返上に向けては、様々な視点から、これまで以上の関係機関の努力が必要である。 愛知県では陸上交通の安全に関する計画を定め、これに基づき各関係機関等が一体となって諸施策を推進し、交通事故防止を図る交通安全計画を策定している。平成28年度から32年度までの5年間を対象とする第10次交通安全計画では、平成32年までに交通事故死者数を155人以下するとする目標値を掲げ、この達成に向けて多様な対策が検討されている。しかしながら、計画に記載される対策内容が交通死亡事故数の削減目標の達成にどのように寄与していくのかといった点までは明確化されていない。 ワーストワン返上に向けては、対策の内容と死者数削減への関係性を踏まえ、その関係性に応じて効率的・効果的な「車・人・環境」の三位一体での対策推進が不可欠である。本業務では、愛知県の交通事故の特徴を踏まえ、マクロ的及びミクロ的な詳細分析を通じて、「車・人・環境」の視点から特に死亡事故の削減において有効と考えられる対策方針を明示することを目的とする。 図 1-1 都道府県別交通事故死者数の推移と削減目標値 図 1-2 愛知県の交通安全計画の目標と対策の視点 出典:警察庁交通局より作成100150200250300350H20H21H22H23H24H25H26H27H28H29H30H31H32交通事故死者数(人)北海道茨城県埼玉県千葉県東京都神奈川県愛知県大阪府兵庫県福岡県■都道府県別交通事故死亡者数の推移愛知県212人(現在)目標値155人以下出典:第10次愛知県交通安全計画2交通安全計画における目標年間の24時間死者数を155人以下交通事故死傷者数を39,000人以下交通事故のない社会を実現することが究極の目標であるが、一朝一夕にこの目標を達成することは困難であることから、本計画においては、平成32年までに、交通事故による年間の24時間死者数を155人以下とすることを目指すものとする。また、本計画における最優先の目標は死者数の減少であるが、死者数減少を始めとする交通安全対策を実施するにあたり、交通事故そのものの減少や死傷者数の減少にも一層積極的に取り組み、平成32年までに年間の死傷者数を39,000人以下とすることを目指すものとする。1交通安全対策を考える視点(中略)このため、従来の交通安全対策を基本としつつ、経済社会情勢、交通情勢の変化等に対応し、交通事故に関する情報の収集、分析を充実し、より効果的な対策を推進する。具体的には、関係する機関・団体が緊密な連携の下に、①道路交通環境の整備②交通安全思想の普及徹底③安全運転の確保④車両の安全性の確保⑤道路交通秩序の維持⑥救助・救急活動の充実⑦被害者支援の充実と推進⑧研究開発及び調査研究の充実といった8本の柱により、交通安全対策を実施する。■愛知県の交通安全計画の目標と対策の視点対策の視点各視点で実施される対策が「死者数」の削減にどの程度寄与しそうであるかまでは明示されていない目標値

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