交通事故数予測モデルを踏まえた愛知県「三位一体」対策の提言
111/118

8-28-1.車の視点 車の視点からは、主にASV(先進安全自動車)の開発・普及促進を提言している。例えば近年、普及が進む自動ブレーキは、交通事故の削減に極めて大きな効果をもたらすことが、早期より安全運転支援技術(ADAS)のアイサイトを搭載したスバル車の交通事故の傾向を分析した図8-1の結果から明らかになっている。 自動ブレーキの搭載率は新規販売車両において年々高まっており、今後、この流れが維持されれば、愛知県における交通死亡事故の削減に大きく寄与していくものと推察される。他方、当該技術の普及においては、車両の買い替えが促進される必要があるが、図8-2に示す(一社)日本自動車工業会の「2015年度乗用車市場動向調査」によれば、今後の保有・購入動向において、「現保有車の保有予定期間は新車で7年超が約7割。前保有車よりも長期保有意向」とあり、時間を要することがわかる。このような点からもASVについて、市場に投入されている後付け的に機能を附帯できるデバイスの普及検討も重要になるといえる。また愛知県において特に多い高齢運転者等に対しては、購入補助の強化等も重要な観点になるだろう。 なお、表8-2に示すように現時点で市場に導入される安全運転支援技術は性能にバラツキがみられることから、後付けの安全支援技術を含めた開発補助を含め、性能評価結果の県民へのわかりやすい伝達を推進していくことも重要である。 ※出典:豊田都市交通研究所「まちと交通」62号, 2018.2 図 8-1 自動ブレーキ搭載車の普及促進による交通事故削減傾向

元のページ  ../index.html#111

このブックを見る